2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経ネットワーク形成におけるRhoファミリーG蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
16390021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
根岸 学 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (60201696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 裕教 京都大学, 生命科学研究科, 助教授 (50303847)
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Keywords | Plexin / semaphorin / Rho / RhoG / ELMO / Dock180 / 神経突起 / R-Ras |
Research Abstract |
神経回路は、特異的な極性を示す神経細胞がその神経突起を介した接着により形作る複雑なネットワークシステムである。神経軸索は、セマフォリン、エフリン、ネトリンなど、様々な軸索ガイダンス分子により導かれて正確に目的のターゲット細胞に投射し、その結果、複雑な神経回路が形成される。この神経軸索誘導は、神経回路形成の重要なステップである。これらの軸索ガイダンス分子のうち、セマフォリンはその特異的な受容体、Plexinを介して軸索に反発作用を引き起こすが、その神経細胞内での情報伝達機構は不明であった。Plexinは膜1回貫通型の受容体で、細胞内領域には種類及び種を超えてよく保存されている領域(C1、C2)が存在する。我々は以前、semaphorin 4D (Sema4D)の受容体、Plexin-B1の細胞内領域のC1とC2の間の領域に、低分子量G蛋白質、Rhoファミリーの1つで脳に主要に発現している常時活性型のG蛋白質、Rnd1が結合していることを見いだした。そこで、Rnd1の結合したPlexin-B1の情報伝達機構を解析した結果、Plexin-B1の細胞内領域のC1とC2がR-RasGAPをコードしており、R-Rasの活性を直接抑制し、神経軸索の反発作用を引き起こすことを明らかにした。Plexin-B1-Rnd1複合体はリガンドのSema4Dの刺激を受けてPC12細胞の神経突起の退縮を引き起こし、従って、Plexinは細胞膜受容体としてR-RasGAPを直接コードする全く新しいタイプの受容体であり、そのR-RasGAP活性により神経軸索の反発作用を発揮すると考えられる。一方、神経突起の伸長や、神経細胞の移動にはRac1の活性化が必要であることが知られている。我々は、神経突起の伸展に、RhoG-ELMO-Dock180の新規の情報伝達経路が必須であることがわかった。RhoGの細胞運動における役割を解析するため、RhoGを欠損した細胞を作成し、細胞運動脳を解析した結果、RhoGがELMO-Dock180を介して細胞の接着、運動を制御していることを見いだした。
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Research Products
(3 results)