2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト有機アニオントランスポーターLST群の生体内機能と発現調節
Project/Area Number |
16390038
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
阿部 高明 東北大学, 病院, 講師 (80292209)
|
Keywords | 消化器固形癌 / LST / 有機アニオントランスポーター / メトトレキセート / アデノウイルス |
Research Abstract |
我々は新規有機アニオントランスポータ-LST-2を単離した。LST-2は正常ヒトでは肝臓のみに弱く発現していたが消化器固形癌や乳癌において多量に発現していた。LST-2は抗癌剤メトトレキセート(MTX)を輸送するがLST-2が発現する癌ではMTXを輸送するLST-1や葉酸transporterの発現は低いことからLST-2がMTXに対する感受性を決定していると考えられた。LST-2特異的に輸送される基質の探索を行うことで消化器固形癌をターゲットとした新たな抗癌剤の開発が可能となると考えられた。またLST-2の発現と消化器癌、乳癌患者の生命予後にも強い相関が認められた。そこで本研究では以下を行った。 1,LST-2の強制発現細胞系を用いLST-2で輸送される蛍光基質の取り込みの抑制を指標としたハイスループットアッセイ系を樹立しLST-2特異的基質の探索による消化器固形癌指向性薬物のスクリーニングを行った。LST-2に特異的に輸送される基質の探索によりMTXの起こす肝障害(LST-1が肝臓に取り込むため)や骨髄抑制(血球に葉酸transporterが取り込むため)の少ない新たな抗癌剤の開発がもたらされる。さらに特異基質が抗癌作用がなくても基質に他の抗癌剤であるクロラムブシルなどを結合させ細胞内に取り込まれた後に両者間の結合がはずれて癌細胞だけを死滅させるデザインを行うことで新たな癌治療をめざす。 2,今日までの200余名の癌組織の免疫染色の検討からLST-2が発現している癌患者の方が発現していない患者より長期生命予後が良いことが分かっており、LST-2の発現自体が現在知られている他のどの生命予後規定因子より強力な因子となっていることが明らかとなった。現在までは我々の作製したポリクローナル抗体を免疫染色に使用していたが今回特異性、染色性の高いモノクローナル抗体を作製した。そこでこの新しい抗LST-2モノクローナル抗体を特許化・製品化を行うとともに多施設で共同研究を行い更に症例数を増やして術後の化学療法の必要性を判断する臨床診断薬としての認可を得る事を図るとともにマウス抗体のヒト化を行い、癌細胞のみを免疫的にターゲットした癌ミサイル療法の樹立を目指す。
|
Research Products
(6 results)