2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態・動力学理論に基づくテーラーメード・処方設計システムの開発
Project/Area Number |
16390043
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤田 康文 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (80114502)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 壽一 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助教授 (70262029)
堀 里子 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (70313145)
|
Keywords | テーラーメード医療 / 処方設計支援 / 電子カルテ / 薬物相互作用 / 医薬品適正使用 / 育薬 / 医薬品情報 |
Research Abstract |
薬物動態・薬物動力学の理論を応用し、実際の医療現場における処方設計や処方チェック、医薬品適正使用、医薬品情報提供などに役立てるためのコンピュータシステムの構築を目標とした研究を行った。本年度は、1)腎障害時の投与設計、2)消化管内における錯体形成に起因する薬物相互作用の回避、3)α遮断薬による前立腺肥大の治療効果予測、4)抗うつ薬による立毛・鳥肌の回避、5)代謝阻害剤との配合剤である抗癌剤の体内動態予測、のためのテーラーメード薬物治療設計支援システムのアルゴリズムを完成させた。 具体的には、腎障害時の投与設計に関しては、個々の薬物に関して消失における腎寄与率をパラメータとして保持することで処方設計支援が可能であることを示した。相互作用の予測については、ニューキノロン系抗菌剤と金属カチオン含有製剤を任意の間隔で投与した際の体内動態を予測するモデルを構築した。α遮断薬による前立腺肥大の治療効果や抗うつ薬による立毛・鳥肌の副作用を受容体結合占有理論に基づき評価可能であることを示した。フッ化ピリミジン系抗癌剤であるTS-1(5-FUのプロドラッグであるテガフールと、5-FUの分解を阻害するギメラシルの配合剤)の体内動態を記述するモデルを構築し検証した。モデルには、1)テガフールから5-FUへの変換、2)5-FUの消失が血中ギメラシル濃度により動的に変化すること、3)ギメラシルの体内動態が腎機能により変化すること、などを組み込んだ。そして、さまざまな腎機能の患者にTS-1を投与した時の5-FU推移をモデルシミュレーションしたところ、実測値を良好に表現できた。 これ以外にも、服薬不遵守時や剤形変更時に必要とされるテーラーメード薬物治療設計支援システムに関するアンケート調査、適正な処方設計・調剤支援システムのための医薬品製剤情報の規格化なども行った。(800)
|
Research Products
(8 results)