2005 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー代謝関連物質の体温非依存的定量と冬眠動物主要臓器の抗酸化ストレス能
Project/Area Number |
16390057
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
橋本 眞明 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (30156294)
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Keywords | 冬眠 / エネルギー代謝 / 抗酸化物質 / 脳 / 微量透析法 |
Research Abstract |
体温6〜8℃で冬眠中のゴールデン・ハムスターが覚醒する時、数時間以内に30℃もの体温上昇が起るので、各臓器はエネルギ代謝の急増に伴う強い酸化ストレスに曝される。この強い酸化ストレスに対抗する生得的機構があると推測され、その実態を明らかにすることが本研究の目的であった。脳は冬眠・覚醒を制御する場と考えられ、放射性同位元素で標識した血漿アルブミンの分布追跡から、覚醒時には優先的に血液配分され、加温される事を報告した(Am J Physiol 2005)。さらに、脳の活動亢進、血流増加と急激な温度上昇による酸化ストレスで脳機能が障害されないための抗酸化機構について検討した。酸化ストレスの実体である活性酸素種やフリーラジカルを消去する物質として知られる抗酸化物質の脳内消長を冬眠から覚醒に至るまで経時的に追跡した。水溶性抗酸化物質として知られるアスコルビン酸、尿酸、グルタチオンは、ゲッシ目動物では体内合成される。脳内のそれら抗酸化物質を定量すべく微量透析試料採取用の膜管探索子を留置し、毎時3〜4μlの流量で灌流して採取・分析する方法を確立。透析液中の抗酸化物質を冬眠の維持相、覚醒中、覚醒後について定量した。さらに、脳組織を採取し、各物質の組織のレベルを定量した。その結果、脳部位により含有量が異なるが、アスコルビン酸とグルタチオンは冬眠中も覚醒中と同レベルに浴維持されていた。尿酸は冬眠中レベルが低く、覚醒に伴って増加していた。一方、微量透析法により定量した細胞外液中では、アスコルビン酸は冬眠中レベルが高く、覚醒に伴い減少する。グルタチオンはその変化と鏡像的に変化する。さらに尿酸は冬眠から覚醒中の一時期にレベルが一過性に上昇する以外はほぼ同じレベルにある事を明らかにした(Behav Brain Res 2006)。
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Research Products
(4 results)