2004 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物による下垂体後葉ホルモンの新たな脳機能解明と新規生理活性物質の探索
Project/Area Number |
16390061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 昌良 産業医科大学, 医学部, 助手 (80369066)
藤原 広明 産業医科大学, 医学部, 助手 (10369051)
河田 光博 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (60112512)
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Keywords | トランスジェニックラット / バゾプレッシン / オキシトシン / GFP / 浸透圧刺激 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
抗利尿ホルモンであるバゾプレッシンおよび子宮筋収縮・乳汁分泌作用を有するオキシトシンは、視床下部室傍核および視索上核の神経分泌ニューロンで産生され、下垂体後葉から血中に分泌される。我々は、オワンクラゲから分離された緑色蛍光タンパクであるGFPとバゾプレッシンの融合タンパク発現のための遺伝子を導入した遺伝子改変動物(トランスジェニックラット)の作成に成功した。本年度は本ラットの繁殖・維持のために交配、遺伝子導入検査を実施した。現在、本ラットは順調に繁殖している。本ラットを用いて本年度得られた成果は以下の通りである。(1)室傍亥、視索上核、視交叉上核、下垂体後葉および視床下部〜下垂体後葉への経路にGFPの強い緑色蛍光が蛍光顕微鏡によって観察された。(2)共焦点レーザー顕微鏡を用いて、GFP蛍光とバゾプレッシンの共存を調べたところ、GFP蛍光はほとんどのバゾプレッシン産生ニューロンと共存していた。一方、オキシトシン産生ニューロンとの共存はほとんど認められなかった。(3)脱水(2日間)および2%高張食塩水飲水負荷(5日間)の浸透圧刺激によって、室傍核および視索上核のGFP mRNAおよびGFP緑色蛍光が著明に増加した。(4)代謝ケージを用いて、飲水量、尿量、尿浸透圧、摂食量を測定したところ、コントロールラットと有意な差はなかった。(5)脳スライス標本を用いて、GFP蛍光を発する神経分泌ニューロンからパッチクランプ法を用いて電気活動を記録することに成功した。(6)視索上核神経分泌ニューロンおよび下垂体後葉細胞を単離して、GFP蛍光を発する細胞を同定することができた。今後は、バゾプレッシン-GFPトランスジェニックラットを用いて生細胞でのバゾプレッシン産生ニューロンの生理学的性質について検討するとともに、新規生理活性物質の作用を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)