2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体エネルギー代謝に及ぼす視床下部AMPキナーゼの調節作用
Project/Area Number |
16390062
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (10200099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 士毅 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (40342919)
志内 哲也 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (70372729)
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Keywords | 摂食行動 / AMPキナーゼ / 視床下部 / レプチン / 肥満 / メタボリックシンドローム / 国際情報交換 / アメリカ合衆国:フランス |
Research Abstract |
AMPキナーゼは、酵母から哺乳動物に至るほとんど全ての細胞に発現するセリン/スレオニン・キナーゼである。AMPキナーゼは細胞内AMP濃度の上昇によって活性化され、グルコース、脂肪、コレステロール代謝の律速酵素をリン酸化して、細胞内の代謝を制御する。しかし近年、筆者らは、AMPキナーゼが単に細胞内のエネルギーレベルによって制御されるだけでなく、レプチンやアディポネクチンのようなホルモンによってもその活性が調節されることを明らかにした。すなわち私どもは、レプチンを動物に投与すると、骨格筋においてAMPキナーゼが活性化し、その作用を通して骨格筋での脂肪酸酸化を促進すること(Minokoshi, Y. et al., Nature 415:339-343, 2002)、さらに視床下部AMPキナーゼがレプチンなどによる摂食行動の調節にも関与することを発見、報告した(Minokoshi, Y. et al., Nature 428:569-574, 2004)。そこで本研究では、摂食行動に及ぼす視床下部AMPキナーゼの調節機構をより明らかにする目的で、レンチウイルスを用いて視床下部室傍核に活性型AMPキナーゼを恒常的に発現させた。その結果、このマウスは、慢性的に摂食量が増加すること、さらにこのマウスは、対照動物と比べると明期には全く摂食せず、暗期にまとめて摂食することを見いだした。対照群は、暗期開始前より摂食行動が増加し、暗期開始から数時間で摂食行動がピークとなるのに対して、活性型AMPキナーゼを発現させたマウスは暗期開始よりゆっくりと摂食行動が増加し、午後2時頃にピークとなった。さらに興味深いことに、このマウスの摂食量増加作用は食事中の炭水化物量に依存することがわかった。
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Research Products
(9 results)