2007 Fiscal Year Annual Research Report
心筋保護・修復・再生におけるシグナル伝達分子STAT3の機能の解析
Project/Area Number |
16390065
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤尾 慈 Osaka University, 薬学研究科, 准教授 (20359839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 純一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30144463)
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Keywords | STAT3 / IL-6関連サイトカイン / 組織幹細胞 / 血管内皮細胞 / 分化 / 血管新生 / 血管発生 / IL-11 |
Research Abstract |
これまで、心筋細胞あるいは心筋組織幹細胞におけるSTAT3の活性化が、心筋組織の保護・修復・再生に重要であることを示峻するデータを得てきた。これらの結果をふまえ、平成19年度は、STAT3を標的とした、心疾患治療法の確立にむけた基盤研究を行った。まず、IL-6ファミリーサイトカインのひとつであるIL-11が、心筋紳胞、および心筋組織幹細胞においてSTAT3を活性化することを見出した。IL-11は、FDAから化学療法後血小板減少症に対する治療薬として認可されており、従ってヒトへの安全性が確認されている。すなわち、上記のデータは、IL-11を用いた、心疾患治療の実現の可能性が期待させるものであると考えられる。そこで、IL-11の心筋組織への作用の解析を中心に研究を進めた。その結果、具体的には以下のことを明らかにした。 (1) マウス心筋虚血再灌流傷害モデルにおいて、IL-11の前投与は、心筋組織に対しpreconditioning効果を示す。 (2)マウス慢性心筋梗塞モデルにおいて、心筋梗塞作製後、IL-11を投与することにより、心筋組繊リモデリングが抑制される。その機序として、心筋組織における血管形成促進、炎症抑制などが関与している。 (3)心筋組織幹細胞を用いたin vitroの実験において、心筋組織幹細胞をIL-11で刺激することにより、血管内皮細胞への分化が誘導される。 以上の成果は、心筋梗塞により生じる急性期、および慢性期の心筋傷害を、IL-11が抑制できる可能性を示すものである。
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Research Products
(7 results)