2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト血管平滑筋型ATP感受性カリウムチャネルの開閉機序に関する分子薬理学的研究
Project/Area Number |
16390067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
寺本 憲功 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (40294912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80037506)
関 成人 九州大学, 大学病院, 講師 (90294941)
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Keywords | ヒト血管平滑筋細胞 / ATP感受性カリウムチャネル / イオンチャネル / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
近年、分子生物学的手法によりATP感受性K^+チャネル(K_<ATP>チャネル)は、少なくとも2種類の蛋白質、すなわちチャネルポアを形成する内向き整流性K^+チャネル(Kir:inwardly rectifying K^+ channels)とスルフォニルウレア受容体(SUR:sulphonylurea receptors)より構成されることが明らかとなった。またKirとSURにはそれぞれ数種類のサブタイプが存在し(Kir:Kir6.1とKir6.2の2種類のサブタイプ、SUR:SUR1、SUR2AとSUR2Bの3種類のサブタイプ)そのKirとSURの種々のサブタイプの組み合わせが臓器によって異なり、各種臓器でのK_<ATP>チャネルの薬理学的特性を決定していると考えられる。例えば膵臓β細胞型K_<ATP>チャネルの組み合わせはKir6.2/SUR1、心筋型K_<ATP>チャネルはKir6.2/SUR2A、血管平滑筋型K_<ATP>チャネルはKir6.1/SUR2Bの組み合わせから構成されていると考えられている。 我々は、電気生理学的手法であるパッチクランプ法を用いてヒト腎動脈とラット門脈におけるK_<ATP>チャネルの同定に成功した。ヒト腎動脈のイオンチャネルのコンダクタンスはおよそ35pSであったがラット門脈においては35pSと75pSの2種類の異なるイオンチャネルが記録された。またKir6.1とKir6.2に対して選択性の高い抗体を作成し、ウエスタンブロットを行った。ヒト腎動脈ではKir6.1のみの蛋白が検出されたが、ラット門脈においてはKir6.1とKir6.2の両方の蛋白が検出された。また同じ抗体を用いて免疫組織化学染色法を行うとヒト腎動脈ではKir6.1の蛋白のみ観察されたが、一方、ラット門脈ではKir6.1とKir6.2の両蛋白が同定された。 以上のことよりこれまで血管平滑筋型K_<ATP>チャネルはKir6.1/SUR2Bの組み合わせのみと考えられてきたが、血管の部位や動物種によりKir蛋白の組み合わせが異なることが考えられ、現在その結果を英文原著論文にまとめている段階である。本研究は、当初の研究計画通り順調に進行中である。
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Research Products
(3 results)