2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制転写因子p53によるアポトーシスの制御を介した癌抑制機構の解析
Project/Area Number |
16390084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 信之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80222115)
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Keywords | 癌抑制因子 / p53 / 癌化 / アポトーシス / ユビキチンリガーゼ / プロテアソーム / NF-κB / Hedgehog |
Research Abstract |
p53によるアポトーシス誘導機構を更に詳細に解析する目的でp53の誘導遺伝子の同定を進め、新規標的遺伝子#130を同定した。#130は、はN末にBTBドメインを有し、C端にKelchリピートが存在する。解析の結果、#130は複合体型ユビキチンリガーゼのサブユニットであるcullin3と結合すること、細胞に強制発現させると、p53標的遺伝子であるNoxaやPUMAのアポトーシス誘導作用を増強するように働いた。次に、#130が分解する基質を同定する目的で、yeast two-hybridにより#130と結合する分子#130BP-1を同定した。#130BP-1は実際に#130と結合し、#130依存性にユビキチン化を受けて分解されることを見出すと共に、同じ構造をもつ#190もp53誘導性遺伝子として同定した。これらの結果から、p53は多くのタンパクを誘導するとともに、幾つかの特異的なタンパクを分解することでその機能を発揮させているという新たな知見を得た。更にp53による癌抑制機構及び癌化におけるp53自身への抑制機構の解析を進め、胃癌、肺癌、膵臓癌等多くの癌細胞で恒常的に活性が亢進していることが最近明らかとなったHedgehogシグナルがp53の分解を促進する現象を初めて発見した。同時に、白血病、リンパ腫や乳癌を代表例として多くの癌で活性が亢進していることが報告されているNF-κBがp53の転写活性を抑制すること、この両者に競合的に結合する分子を同定し、この分子が両転写因子の相互抑制作用に関与することを推測させる結果を得た。
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