2006 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制転写因子p53によるアポトーシスの制御を介した癌抑制機構の解析
Project/Area Number |
16390084
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 信之 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (80222115)
|
Keywords | p53 / アポトーシス / Noxa / PUMA / Bim / Aurera-A / 細胞分裂期制御 / 中心体 |
Research Abstract |
p53の新たな標的遺伝子#130を同定している。この遺伝子産物は、複合型ユビキチンリガーゼE3のサブユニットであるcullin3と結合して基質特異的なアダプター分子として機能する分子であることを見いだすと共に、yeast two-hybridによりこの分子の標的となって分解される蛋白を#130BP-1同定した。#130を強制発現させるとG2/Marrestが誘導され、その後アポトーシスが誘導されることを見いだしており、その分子機構を解析した。その結果、#130BP-1が分裂期の中心体に局在し、分裂期キナーゼであるAurora-Aと結合してそのキナーゼ活性を増強する新規の活性化因子であることを見いだした。更に、#130は#130BP-1及びAurora-Aと3量体を形成し、結果としてAurora-Aの分解を誘導すると共にその活性も阻害することを細胞を用いた解析及びin vitro kinase asseyで明らかにした。p53による分裂期制御についてはこれまでに解析されておらず、新たなp53の機能を明らかに出きるのではないかと考えている。更に、p53によるアポトーシス誘導の分子機構の解明を行う過程で、p53の標的遺伝子産物であるNoxaとPUMAが相乗的にアポトーシスを誘導することを見いだした。この相乗効果はNoxaやPUMAの類似分子であるBcl-2ファミリー分子であるBimやBidでは見られないことからp53がアポトーシス誘導能を2つの分子に分担させることで、アポトーシス誘導を調節していることが考えられた。実際に、いくつかの癌細胞を解析した結果、p53によってPUMAは誘導されるものの、epigeneticな変化によりNoxaが誘導されないものが存在し、p53とNoxaを遺伝子導入することで効率良くアポトーシスを誘導する事を見いだしている。これらの解析を更に発展させて、癌細胞に対すして効果的なアポトーシス誘導による治療法の開発を現在進めている。
|