2004 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の発生及び進展におけるC反応性蛋白の役割-遺伝子改変ウサギモデルを用いた研究
Project/Area Number |
16390089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
範 江林 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (60272192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孫 慧君 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助手 (00361329)
杉山 文博 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (90226481)
山田 信博 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (40200729)
渡辺 照男 佐賀大学, 副学長 (40037396)
森本 正敏 佐賀大学, 総合分析センター, 助教授 (90136482)
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Keywords | 遺伝子改変 / 動脈硬化 / 動物モデル / 高脂血症 / 脂質代謝 / 遺伝子導入 / マクロファージ / CRP |
Research Abstract |
CRPウサギの作製: 本年度ではまず肝臓特異的に高発現できるベクターであるplivHEG/LE6にヒトCRP cDNAを挿入して、plivLE6-hCRPコンストラクトを作製した。また、スカベンジャー受容体プロモーターを用いてpAL1-hCRPコンストラクトを構築した。592個の受精卵を用いてマイクロインジェクションを行い、12羽の仮親ウサギに移植した。現在までに25羽の子ウサギが得られ、そのうち、2羽にCRP遺伝子の導入が確認されている。これからさらに出産の可能性があると思われ、新しいFounderウサギの誕生が期待される。今後、今のFounderウサギを用いて、繁殖を行いながら、Tgウサギ各組織から抽出したmRNAを用いたノーザンブロットや、血中CRPのELISA法による定量などを計画している。 動脈硬化病変に存在するCRP蛋白の由来の同定: 2種類の高脂血症ウサギモデル(コレステロール負荷ウサギ、WHHLウサギ)と、ヒトの生検標本を用いて、ウサギ血中の高感度CRP濃度と、動脈硬化病変におけるCRPのmRNAおよび蛋白発現量を測定した。どちらの高脂血症ウサギでも、血中CRPの増加が認められ、動脈硬化病変のサイズとも相関していた。病変部におけるCRPの免疫染色並びにwestern blotの結果、早期病変から複合病変まで、病変の程度に関わらずCRPが広く存在していた。CRPは主に細胞外基質に存在し、アポ蛋白Bと一致した局在を示していたが、マクロファージや血管平滑筋細胞にはほとんど見られなかった。Real-Time RT-PCRの結果、CRP mRNAは肝臓で強い発現が認められたが、動脈硬化病変部にはほとんどなく、単離されたマクロファージからは全く検出されなかった。コレステロール負荷ウサギへのSimvastatin投与により高脂血症が著しく改善され、血中CRPと病変部のCRP沈着も著明に減少した。以上の結果より、ウサギモデルにおいて、血中CRP値が高脂血症や動脈硬化病変と相関していることが明らかになった。CRPの発現は、そのほとんどが肝臓からであり、動脈硬化病変での発現はあってもごく微量で、マクロファージにおいては全く発現していないことを発見した。
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Research Products
(7 results)