2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂質メタボロミックスによる病態解析をめざした全自動脂質組成一斉分析装置の開発
Project/Area Number |
16390093
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東城 博雅 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (90135707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 潤二 大阪大学, 先端科学イノベーションセンター, 教授 (50163407)
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Keywords | リピドミクス / リン脂質 / スフィンゴ脂質 / HPLC / 質量分析 |
Research Abstract |
プロトタイプ試作機である3溶媒グラジエントとイオン化促進溶媒を送液する4溶媒HPLCを以下のように改良してコレステロールエステル、トリアシルグリセロールなどの非極性脂質からリン脂質にわたり安定に分析可能な高速液体クロマトグラフィー(HPLC)・エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析を開発した。主な改良点は、非極性溶媒を安定に送液できる無脈流ポンプの開発、ESIでイオン化しないコレステロールのオンライン検出のための蒸散光散乱並列検出システムの追加、リピドミックスに適した順相カラムの作製、効率の良い定量に必要な内部標準物質の選定と検量線の作製、超撥水性ESIチップの脂質分析用最適化等である。この装置を応用して以下のように遺伝子操作マウスの脂質代謝異常を系統的に検索できることを示した。セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)はすべてのスフィンゴ脂質のde novo生合成の初発・律速酵素である。皮膚とT細胞特異的なSPT-KOマウスの脂質分析を行い、スフィンゴ脂質de novo生合成欠落時の組織特異的な変化とスフィンゴ脂質の代償経路について検討した。皮膚とT細胞とも正常機能維持にセラミドのde novo生合成が必須であることがわかった。皮膚では、表皮防御機能が低下し、セラミドなどの中性脂質の脂肪酸組成変化で表皮の疎水性度を上げ部分的に表皮防御機能を代償することがわかった(投稿準備中)。T細胞では、ラフトのスフィンゴ脂質とコレステロールの低下がT細胞受容体機能を著しく障害し分化異常をきたすことがわかった。この場合には、二つの飽和アシル鎖を持つジパルミトイルホスファチジルコリンの組成比が増加しており、ラフト膜の特性である低膜流動性を維持するための代償機構と考えられる。細菌SPT活性測定(投稿準備中)、ボスファチジルイノシトールの構造異性体である新規脂質ボスファチジルグルコシドの分離同定にも本法を応用した。アシルCoAオキシダーゼ単結晶中の反応産物の同定にESI-TOF型質量分析・器を応用した。
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Research Products
(5 results)