2004 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼSykの新規な機能の解明-発癌と初期感染を回避する分子メカニズムの解析-
Project/Area Number |
16390095
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山村 博平 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90030882)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定 清直 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10273765)
通山 由美 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70362770)
|
Keywords | チロシンキナーゼ / Syk / 発がん抑制 / CXCR4 / 食作用 / 補体 |
Research Abstract |
チロシンキナーゼSykの新規機能として1、発癌抑制と 2、感染の初期防御に着目した。 1、乳癌等の解析により、Sykによる発癌抑制作用が報告された。その分子機序を解明するため、白血病発症モデルを用いた。細胞外マトリックス上、白血病細胞株BAF3および32DをCXCL12で刺激し、シグナル伝達、細胞接着、運動性および細胞形態について解析した。両細胞株は、速やかに細胞極性を伴う移動を開始した。すなわち移動の前方側に葉状突起、後方側に収縮性の構造、uropodを生じた。この際、Sykが活性化した。そこで優性抑制型Sykを導入した。細胞極性とuropodが消失、細胞接着も減少し、かつCXCL12依存性のRhoA活性化が抑制された。この結果は、SykがRhoA上流で、CXCL12シグナルによる細胞極性化と接着制御に必須である事を示している。近年、同シグナルの破綻とがん転移の関わりが報告されており、Sykが同様の機構で、白血病と固形腫瘍の悪性化阻止に寄与する事を示唆した。 2、補体を介した食作用の実験モデルとして、マクロファージ様に分化したヒト白血病細胞株HL60、ヒト血清中で補体によりC3bi標識したZymosanを用いた。分化したHL60はC3biで標識したZymosanのみ、速やかに捕捉、貪食し、その際、Sykが活性化することを確認した。優性抑制型SykおよびSyk-siRNAの安定発現株を作製し、(1)フローサイトメトリーによる計測、(2)食胞内Zymosanの解析、(3)食胞とリソソームの融合確認等を行い、比較検討した。HL60では、補体受容体に結合したC3bi-Zymosanは速やかに食胞内に輸送されるがSyk抑制型変異株では、ほとんど輸送されないこと、この過程にRhoAが関与することが確認された。補体依存性の食作用においてSykが受容体を介した食胞輸送に必須の役割を果たす事を明らかにした。
|
Research Products
(5 results)