2005 Fiscal Year Annual Research Report
Wolfram症候群の分子病態と小胞体ストレスによる膵β細胞機能障害
Project/Area Number |
16390096
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
谷澤 幸生 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00217142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 淳 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (40311815)
湯尻 俊昭 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (80346551)
植田 浩平 山口大学, 保健管理センター, 講師 (50325221)
鶴 政俊 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (20379960)
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Keywords | 糖尿病 / 小胞体ストレス / 肥満 / インスリン分泌 / Wolfram症候群 |
Research Abstract |
wfs1欠損マウスの膵β細胞はERストレスに脆弱であることが示唆されている。しかし、β細胞障害はマウスの遺伝的背景に依存し、C57BL/6Jを遺伝的背景とするwfs1欠損マウス(C57BL/6J-wfs1^<-1->)の耐糖能異常は軽度にとどまる。そこで軽度の肥満とインスリン抵抗性を持つyellow agoutiマウス(C57BL/6J-A^y)を交配することにより、wfs1欠損agoutiマウスを作出し、インスリン抵抗性負荷時のβ細胞の応答を検討した。wfs1欠損agoutiマウスはagoutiマウス同様軽度に肥満するが、6週齢ですでに約半数で明らかな高血糖を示した。生後16週頃からは全個体でインスリン分泌不全による著明な高血糖を来した。体重は減少に転じ、20週以降にはケトーシスを来した。膵ラ氏島では著しいβ細胞の選択的脱落を認め、アポトーシスを示すTUNEL陽性細胞の出現、活性型caspase-3の発現増加がみられた。残存するβ細胞ではインスリン分泌顆粒の減少と、小胞体の顕著な膨化が電子顕微鏡で観察された。単離ラ氏島のウエスタン解析では、小胞体ストレス応答に関するBip蛋白の発現が野生型マウスと比較し、agoutiマウスやwfs1欠損マウスで増加していたが、wfs1欠損agoutiマウスではさらに顕著であった。これらのことは、wfs1を欠損したβ細胞はERストレスに対する応答異常のために容易にアポトーシスに陥ることを示している。 pioglitazoneの投与により、wfs1欠損agoutiマウスでのβ細胞のアポトーシス、糖尿病の発症はほぼ完全に抑制された。 2型糖尿病患者においても、膵β細胞は緩徐ではあるが進行性に減少してゆく。wfs1欠損agoutiマウスでのβ細胞死のメカニズムをさらに詳細に解析することにより、2型糖尿病の発症、進展との共通メカニズムの解明が期待される。
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Research Products
(5 results)