2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスのホスホリパーゼDを中心とする生存シグナル伝達経路の制御機構
Project/Area Number |
16390098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu International Institute of Biotechnology |
Principal Investigator |
野澤 義則 財団法人岐阜県国際バイオ研究所, 所長兼部長 (10021362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 幸博 財団法人岐阜県国際バイオ研究所, 部長 (00222505)
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
大口 健司 財団法人岐阜県国際バイオ研究所, 主任研究員 (80359257)
中川 義仁 財団法人岐阜県国際バイオ研究所, 研究員 (60372108)
松本 健司 財団法人岐阜県国際バイオ研究所, 専門研究員 (60288701)
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Keywords | 酸化ストレス / H_2O_2 / ホスホリパーゼD / Aktキナーゼ / Pyk2キナーゼ / 生存シグナリング |
Research Abstract |
酸化ストレスのホスホリパーゼD(PLD)を中心とする生存シグナル伝達経路の制御機構の解明を目的として、神経モデル細胞(PC12細胞)のH_2O_2(0.5mM)処理による脂質シグナリングの解析を行った。H_2O_2刺激によってPLA_2/A_1の活性化によるリン脂質脂肪酸の遊離が起こり、なかでもC20:4(アラキドン酸)がPLD2活性化因子として作用していることが示唆される。スフィンゴシンキナーゼ(SPHK)のH_2O_2刺激による活性上昇は軽度であり、PLCの活性化は認められなかった。一方、PLD2(PC12細胞の主要PLDアイソフォーム)の活性化の上流シグナルとしてERK1/2およびp38MAPキナーゼの関与を提唱しているが、p38MAPキナーゼのみがH_2O_2刺激により活性化されるAsk遺伝子導入PC12細胞を最近入手し、至適培養条件を設定した。PLD活性化を介する生存シグナルにおいてカルシウム依存症チロシンキナーゼPyk2が足場タンパク質として重要な役割を果たしていることが示された。すなわち、H_2O_2刺激によりPyk2(Y402,Y580,Y881)がチロシンリン酸化され、Srcとともに活性化されるが、EGF刺激ではSrc,Pyk2活性化はH_2O_2刺激に比して弱い。また、H_2O_2によるPyk2活性化はPLD阻害剤の1-ブタノールおよびPLD2ドミネガチブ遺伝子導入により抑制されることが示された。さらに、免疫沈殿法によりPLD2がPyk2,Srcと共沈することから、これら3者が複合体を形成していることが明らかにされた。一方、生存シグナル系で重要なPI3K/Akt/S6キナーゼ系がPLD2活性抑制状態(阻害剤、ドミネガ遺伝子)では十分に作動しないことが示され、PLD2活性がこの生存シグナリングに密接に関与していることを明らかにした。 H_2O_2刺激でEGFレセプターを介するERK1/2活性化は起こるが、PI3K/Akt系は活性化されない。
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Research Products
(5 results)