2005 Fiscal Year Annual Research Report
新型腸管出血性大腸菌出現のゲノム解析とHUS治療に向けた大腸菌ゲノム創薬
Project/Area Number |
16390128
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 達男 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80095843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
種池 郁恵 新潟大学, 医学部, 教務補佐員 (50397105)
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / HUS / ゲノム解析 / WIMモデル / 粘着因子 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌(EHEC)は、小児や高齢者に感染すると重症合併症である溶血性尿毒症症候群(HUS)を惹起し、予後不良となる。従来、HUSの発症にはEHECがもつタイプIII分泌システムが必須であると考えられてきた。しかし血清型O86大腸菌による家族感染例では、当該血清型O86菌がタイプIII分泌システムをもたないのに小児がHUSを発症して死亡した。本研究では、小児株(新型EHEC)の遺伝学的特徴を明らかにした。小児株は長さ120.730kbの分散型粘着性プラスミッドpO86Aをもっていた。pO86A上には分散型粘着因子遺伝子(hdaA, HUS-associated diffuse adherence A)が存在し、18.0kDa(計算上15.5kDa)の外膜蛋白HdaAをコードした。HdaAはマンノース耐性のヘマグルチニン活性(MRHA O86)を示す、新しい粘着因子であった。pO86Aにはさらに、赤痢菌(S.flexneri)に99%の相同性を示すIgA1プロテアーゼ遺伝子ipd(IgA1 protease of diffusely-adhering enterohemorrhagic E.coli)が存在した。小児株が溶原化していた志賀毒素(Stx2)ファージは、サイズは60.238kbで、血清型O157EHECのStx2ファージに類似したが、挿入配列(att)はO86独自の配列であった。したがって、当該家族感染例では「小児腸管内で、O86型Stx2ファージが高定着性O86大腸菌に溶原化し、新しいEHECが出現、致命的なHUSが惹起された」可能性が高い。また、HUS発症にタイプIII分泌システムが必須でないことが示唆された。さらに、生薬アニソダミンや抗菌薬アジスロマイシンが抗Stx作用を示すことを確認した。作用点はNF-kBより上流のシグナル伝達系であると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] A Panton-Valentine leukocidin (PVL)-positive community-acquired methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) strain, another such strain carrying a multiple-drug resistance plasmid, and other more-typical PVL-negative strains found in Japan.2005
Author(s)
Takizawa Y, Taneike I, Nakagawa S, Oishi T, Nitahara Y, Iwakura N, Ozaki K, Takano M, Nakayama T, Yamamoto T
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Journal Title
J.Clin.Microbiol 43(7)
Pages: 3356-3363
Description
「研究成果報告書概要(欧文)」より
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