2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルスの宿主への吸着・侵入の分子機構の解析
Project/Area Number |
16390138
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
井上 直樹 国立感染症研究所, ウイルス第1部, 室長 (90183186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 志津子 国立感染症研究所, ウイルス第1部, 主任研究官 (10218646)
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Keywords | ヘルペスウイルス / 感染 / 水痘帯状疱疹ウイルス / サイトメガロウイルス / 遺伝子多型 / 糖蛋白 |
Research Abstract |
1.水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)及びサイトメガロウイルス(CMV)の感染を特異的に検出できる各レポーター細胞株を用いて、感染初期過程におけるキナーゼによるリン酸化の重要性を検討した。その結果、VZVではロスコビチン、CMVではオロマウシンIIと異なる阻害剤が特異的に感染阻害効果を示した。従って、感染初期過程において宿主因子ではなく何らかのウイルス因子によるリン酸化の関与がウイルス増殖に必要と考えられた。 2.CMVは他のヘルペスウイルス同様にゲノム全体としてみた場合には分離株間の塩基配列の差は極めて少ないが、特定の遺伝子、例えば宿主細胞への吸着・侵入に関与するエンベロープ糖蛋白をコードするgB、gH、gO、gNなど、で遺伝子多型が存在することが知られてきた。DNAを精製することなく濾紙片をそのまま鋳型として反応液に加えてPCRを行う方法を開発することにより、多数の健常小児の尿検体などをスクリーニングすることが可能となり、現在までに約50株のCMV DNAを得た。得られたDNAを用いて遺伝子多型を比較した結果、gB以外の3つの糖蛋白の遺伝子型の間に相関があった。gB、gH、gO、gN遺伝子はゲノム上で近接して存在するため、この結果は、1)中和など積極的な選択により、gB遺伝子が変化しやすい、もしくは、逆に2)gH、gO、gNの蛋白間相互作用により宿主への侵入などの機能を保持するためにgBに比べて変化しにくいという2つの仮説が導かれた。相関するgH、gO、gNのセットごとに感染性や病原性に変化があるかを今後検討する必要がある。
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Research Products
(5 results)