Research Abstract |
広島圏域メディカルコントロール協議会(面積2,650.19km^2,サービス対象人口1,328,805人)における,1年間の重症外傷および病院外心停止を集計し,考察を加えた. 1.重症外傷 平成16年度の研究の問題点を受けて,本年度は救急搬送された全外傷症例を対象とし,7月〜10月の4ヶ月間のパイロットスタディーを行った.症例数は4795例,L&G症例は557例(11.6%)であった.初期観察にてL&Gとなった症例(A群)が189例(3.9%),初期観察ではL&Gではないが全身観察にてL&Gとなった症例(B群)が.95例(2.0%),初期観察でも全身観察でもL&Gに該当しないが状況評価によってのみL&Gとなった症例(C群)が273例(5.7%)であった.L&Gに該当しない症例(D群)は全症例の88.4%であった.全体では3132例(68.4%)の症例が外来処置後帰宅していた.入院治療を必要としたが14日以内に退院した症例が505例(11.0%),14日以上入院中の症例が896例(17.5%),14日以内の死亡例が42例(0.9%)であった.L&G症例の中で,外来処置にて帰宅した症例が38%あった.A群とB群でも約20%が外来処置にて帰宅できる重症度であった.C群では外来処置にて帰宅の症例が約60%であり,D群の約70%と比較して大きな差はなかった.「外来処置にて帰宅」と「14日以内に退院」を併せた症例数で検討すると,A群46%,B群50%に対して,C群は77%,D群は81%であり,状況評価のみのL&G症例と,L&Gでない症例の間に大きな差はなかった.14日以内に死亡した42例のうち39例(93%)がA群であった.C群に1例,D群に2例の14日以内死亡例があった.この評価にはさらに詳細な検討を要するが,超高齢者が大腿骨頚部骨折を受傷し,最終的な死因は心不全である症例も含まれていることから,現場での観察の守備範囲をこえた要因が影響している可能性も考えられる. 2.病院外心停止 2005年度の心停止症例は651例であり,目撃された心原性心室細動は34例であった.2003〜2005年度の3年間の目撃された心原性心室細動症例100例を対象として,単相性の除細動器を用いた71例(Mo群)と二相性を用いた29例(Bi群)を比較した.初回DCによる除細動例はBi群17例(59%),Mo群28例(39%),初回DCによるROSC例はBi群9例(31%),Mo群10例(14%)であった.二相性除細動器の効果は,初回除細動率および初回ROSC率において単相性よりも優れている強い傾向があり,除細動1回が推奨される新国際ガイドラインに従って今後の現場活動をする場合に,より有用である可能性が考えられる.
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