2004 Fiscal Year Annual Research Report
格差拡大社会における公平志向保健・医療政策に関する国際比較実証研究
Project/Area Number |
16390154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (20260812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 一夫 福井大学, 医学部, 助教授 (90313741)
青木 郁夫 阪南大学, 経済学部, 教授 (80184026)
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Keywords | 医療政策 / 健康格差 / 医療の質 / 公平 / 国際比較 / アメリカ / イギリス / スウェーデン |
Research Abstract |
1、既存研究成果の整理と分析枠組みの開発 内外の研究成果を収集・分析し、公平志向の保健・医療政策に関わる国際比較研究の分析枠組み案を作成した。その概要は、医療の利用、医療の質、健康について格差の存在が指摘されているか、また格差が存在しかつそれが不公平と考えられている場合に、政府、私企業、市民(非営利組織など)の各セクターにおいてどのような取り組みがなされているか、それらへの政策的関与とガバナンスのあり方を総合的に分析するというものである。 2、各国分析の検討 イギリス、スウェーデン、アメリカ合衆国について、上記の分析枠組みをふまえて、関連資料を収集し、検討を行った。英国については、実証的蓄積に加えて健康格差を克服するための部門を超えた政策が打ち出されていること、米国については、政策医療保険の加入状況が医療の利用、医療の質、および健康に及ぼす影響についてInstitute of Medicineの一連の報告書を検討した。また、全国的な医療システムの未構築という米国の事情をふまえ、連邦政府レベルだけでなく、州および地方政府のレベルにおける多様な格差是正の取り組み、さらに私企業・市民セクターの活動に注目する必要性が浮かび上がり,非営利病院を中心として予備的な調査を実施した。スウェーデンについては、健康格差の実証的蓄積に加えて、公衆衛生政策上の健康格差が課題となりつつあることが明らかになった。他方で、医療政策については財政制約のもとで厳しい選択を迫られている中で、ガバナンスのあり方が問われている状況が浮かび上がった。この中で、地方自治体のレベルでの政策決定も視野にいれて検討する必要が明らかになった。 3、OECD加盟国調査の準備 上記の枠組み開発過程においてOECD加盟国に対する調査は、各国のガバナンスの差異を考慮にいれて比較可能な調査を行うための検討が必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)