2004 Fiscal Year Annual Research Report
MCTが関与する筋細胞内乳酸濃度調節と薬物由来横紋筋融解症発現機序との関連性
Project/Area Number |
16390155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井関 健 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40203062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 剛 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (00322826)
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Keywords | MCT4 / MCT1 / スタチン系薬物 / 黄紋筋融解症 / トランスポート / アポトーシス / 相互作用 |
Research Abstract |
スタチン系薬物は、副作用として骨格筋細胞の融解・壊死により筋体成分が血中へ流出する横紋筋融解症を引き起こす。一方、スタチン系薬物の組織分布を理解するうえで各臓器細胞膜の乳酸トランスポーターMCTが重要な役割を果たしていることが近年判ってきた。乳酸は酸性物質であるため細胞内に過剰に蓄積するとアポトーシスを引き起こす。従ってこのMCTを介した乳酸とスタチン系薬物の動態学的相互作用は、副作用発現の機構を考察するうえで重要な因子であることが想定される。本研究ではスタチン系薬物の横紋筋融解症の発生メカニズムを明らかにする目的で、骨格筋における乳酸の輸送特性を解析することで、乳酸排出と細胞内酸性化の関連性およびスタチン系薬物の細胞障害を乳酸の輸送拮抗・阻害の観点から評価した。骨格筋細胞の乳酸輸送に関わるMCTアイソフォームの評価をした結果、取り込み方向の輸送にはMCT1が寄与しており、排出方向にはMCT4の関与が示唆された。また両方向の輸送に対してモノカルボン酸型薬物は阻害効果を示した。さらに、スタチン系薬物はヒト骨格筋細胞に対していずれも濃度依存的に障害性を示したが、その障害性はスタチン系薬物の分配係数とよく相関するものであった。 MCT4強制発現細胞を作成し、乳酸取り込み活性を確認したところ、明確な濃度飽和性を示し、Km値は28.7mMと算出された。さらにMCT4の基質および阻害剤により乳酸取り込みは強く阻害された。また脂溶性スタチンは、MCT4を介した乳酸輸送に対して濃度依存的な阻害効果を示し、阻害効果の強さはfluvastatin≧atorvastatin>lovastatin acid>simvastatin acid>cerivastatinであった。これに対し、水溶性スタチンは高濃度においても阻害効果を認めず、MCT4への親和性は低いことが示された。
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Research Products
(3 results)