2005 Fiscal Year Annual Research Report
胃における炎症後の分化異常とがん化の分子疫学的解析
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16390168
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 好光 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80262187)
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Keywords | 分化 / 胃がん / SOX2 / ムチン / Notch / Hath-1 / MUC6 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.胃の分化、及びがん化における転写因子SOX2の機能解析 SRY-related HMG-box familyに属する転写因子SOX2は発生・分化に関与しており、正常胃では発現しているが、小腸と大腸では発現していない。胃がん細胞株9例におけるSOX2発現をRT-PCR法で調べた結果、6例での発現は陰性または弱かった。SOX2発現が陰性である胃がん細胞株とラット正常胃上皮由来細胞株でSOX2を強制発現を行った結果、増殖が抑制されるとともにアポトーシスによる細胞死が認められた。また、SOX2を強制発現した胃がん細胞において胃の分化マーカーであるMUC5AC、Pepsinogen A、及びGastrinの発現上昇も見られた。以上より、SOX2は胃由来細胞においてがん抑制的機能を持つことと、胃の分化マーカーの発現をコントロールしていることが示された。 2.胃がんにおけるNotchシグナルとその下流転写因子Hath-1の機能解析 Notchシグナルは細胞文化を制御する細胞間シグナル伝達機構である。大腸がんではNotchシグナルの下流転写因子Hath-1(マウスではMath-1)の発現消失が起こっていることが報告された。胃がん細胞株8例を用いたRT-PCRの結果、Notch-1/2/3は全ての胃癌細胞株で発現していた。Hes-1は1例で、Hes-2/3は全ての胃がん細胞株で発現がなかった。Hath-1は4例の胃がん細胞で発現があり、細胞株による発現の違いが認められた。これら7遺伝子とムチン遺伝子発現の関連性を検討した所、Hath-1とMUC6の発現が非常に良く似ていた。そこで、胃がん細胞株にMath-1を導入した結果、MUC6の発現上昇が検出された。さらに、Hath-1とMUC6が発現している胃がん細胞においてHath-1 siRNA導入によるノックダウン実験を行い、MUC6の発現低下が見られた。以上よりHath-1はMUC6の発現制御に関わり、胃細胞の分化において重要と考えられる。また胃がん細胞におけるHath-1発現の低下は、胃がん発症においてもHath-1が関連する可能性を示唆した。
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Research Products
(9 results)