2004 Fiscal Year Annual Research Report
高毒性臭素系ダイオキシン類を対象とした人体汚染の実態と汚染源の究明
Project/Area Number |
16390173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
宮田 秀明 摂南大学, 薬学部, 教授 (80167676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青笹 治 摂南大学, 薬学部, 助手 (20248066)
中尾 晃幸 摂南大学, 薬学部, 助手 (20288971)
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Keywords | 臭素系ダイオキシン類 / ダイオキシン類 / 臭素系難燃剤 / ポリ臭素化ジフェニルエーテル / 母乳 / 血液 / 食事 / 汚染源 |
Research Abstract |
血液および母乳を対象とし、^<13>C_<12>^-ラベル化内標準品を利用したアイソトープ希釈法と高分解能GC/MSを併用した、臭素系ダイオキシン類の微量分析法を開発した。また、臭素系ダイオキシン類の主要な起源物質と推定される臭素系難燃剤のポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)についても、血液、母乳、食事を対象とした高精度微量分析法も開発した。上記の分析法を用いて、約2000名から採取したプール血清中の臭素系ダイオキシン類の汚染実態を明らかにした。予想に反してその汚染濃度は塩素化ダイオキシン類に比較して低く、毒性等量では塩素化ダイオキシン類の2.3%にすぎないことが判明した。そのため、臭素系ダイオキシン類の汚染究明に先だって、その主な起源物質であるPBDEsの汚染実態を明らかにすることを試みた。 まず、プール血清3検体と島根県在住者15名からの個別血液を分析し、一般健常者におけるPBDEsの平均的な汚染実態ならびに汚染濃度に極めて大きな個人差があることを明らかにした。次に、空腹時の母乳について詳細に検討した結果、ほ乳開始時に比べて終了時においては、1)脂肪濃度が約2倍も増加すること、2)PBDEs濃度も増加する事例が多いこと、3)PBDEs構成組成の経時変動は一定でないこと、などの基礎的な新知見が明らかとなった。5名の授産婦について調査した陰膳試料におけるPBDEsの濃度と構成組成比は、経時的に大きく変動することが確認できた。食事経由で摂取するPBDEs量は、母乳経由による排泄量に対して十分に影響を及ぼす可能性のある量であること、ならびに母乳中PBDEsは体内蓄積成分だけでなく、食事経由の一過性の汚染を受けていること、などの貴重な新知見を見いだすことができた。
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