2005 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害を有する児童・生徒に関する包括的研究
Project/Area Number |
16390182
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小野 次朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20214182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 一彦 東京学芸大学, 総合教育科学系, 教授 (20012578)
小野 尚香 近畿福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70373123)
江田 裕介 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00304171)
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 保険看護学部, 教授 (80191146)
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Keywords | 高機能広汎性発達障害 / 教育 / 就学前療育 / ネットワーク / RDI / 対人関係発達書道法 / 一斉アンケート |
Research Abstract |
1.和歌山市内における軽度発達障害に関する一斉アンケート 和歌山市内のすべての小・中学校の通常学級を担任する教員に対して、2002年度文部科学省が施行した調査票を使用して軽度発達障害に関するアンケート調査を行った。小学校52校、中学校18校であった。文部科学省の方式に従い、各クラス出席簿順で男女それぞれ上から5名を抽出した。対象となった児童・生徒数は、小学校6793名、中学校2796名、合計9589名であった。学習面で困難を有する児童・生徒あるいは行動面で困難を有する児童・生徒は、小学校で7.9%、中学校で5.7%、全体で7.3%であった。文部科学省の報告した6.3%に比べると若干高いが、近似した値と考える。各学年別の数値を見ると、小学校では、1年:6.8%、2年:9.1%、3年:10.5%、4年:9.1%、5年:6.5%、6年:5.6%であり、中学校では、1年:7.0%、2年:4.7%、3年:5.3%であった。このように、文部科学省の調査では明らかにされなかった、学年ごとの推移を見ると、小学校では3年生と4年生、中学校では1年生において、軽度発達障害が疑われる児童・生徒の割合が高いことが伺われた。今後、詳細を分析する予定である。 2.障害通園施設での聞き取り調査および親の会への対面調査 研究発表のところでも書いている通り、共同研究者である小野尚香が中心になって研究を行った。詳しい結果は論文を参照していただきたい。この中で明らかになってきたこととして、(1)医療機関における診察だけでは、子どもたちの長い人生の支援を考えていく場合不十分であること、(2)親の会の役割の大きなものとして、セルフヘルプを中心とする自助的な働きが挙げられること、(3)地域での連携を通して、医療、保健、福祉、教育が協力し合って、支援する必要があること、(4)ADHDに対するペアレントトレーニング、広汎性発達障害に対するRDI(対人関係発達指導法)のような、新しい取り組みが必要であること、などがある。 3.海外における広汎性発達障害に対する指導・支援を通して 2.でも述べたが、広汎性発達障害に対する新しい指導方法として、RDIが提唱されている。今回の研究で、RDIのコンサルタントとして働いている医師への聞き取りも含めて、カナダのバンクーバーを訪問した。広汎性発達障害に関しては、診断と指導・訓練を完全に分離する方法を試みており、わが国でも参考にするべき内容が豊富にあった。そのような地域でRDIのコンサルタントとして働いている、バーマン医師への聞き取りでは、遠隔地であっても、ビデオを多用することにより、指導が可能であることが印象的であった。 現在、RDIの本を翻訳中であり、平成18年5月には出版されるので、利用していきたいと考えている。
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Research Products
(12 results)