2006 Fiscal Year Annual Research Report
高機能広汎性発達障害を有する児童・生徒に関する包括的研究
Project/Area Number |
16390182
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小野 次朗 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20214182)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 一彦 東京学芸大学, 総合教育科学系, 教授 (20012578)
江田 祐介 和歌山大学, 教育学部, 教授 (00304171)
柳川 敏彦 県立和歌山医大, 保健看護学部, 教授 (80191146)
小野 尚香 親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70373123)
|
Keywords | スクールカウンセラー / 特別支援教育 / 広汎性発達障害 / 就学前教育 / ブリティッシュコロンビア州 |
Research Abstract |
1)通常小学校における特別支援教育体制の検討 特別支援教育士の資格を持つスクールカウンセラーを、おおよそ週1回の割合で通常小学校に支援員として配置した。その結果、ここの児童に対する支援として、行動の問題や学習の問題に対処できた。特に、学習の問題に関しては、それぞれの児童に理解できる形で指導することにより、学習参加への意欲が増し、授業中運態度も変わり、結果として問題行動も減少した。教員に対する支援として、専門的知識を有するカウンセラーが配置されたことで、いつでも質問できる安心感と適切な指示が得られることから、教員にもゆとりが出てきた。保護者との面談も行い、第三者が介入することにより、学校と家庭の誤解も減っていった。教員へのアンケート調査では、続けてスクールカウンセラーが配属されることを望む声が大きく、また自分が教える学年にももっと多くの時間を割いて欲しかったという意見も大きかった。この研究の中で、専門知識の重要性が再確認された。 2)カナダブリティッシュコロンビア(BC)州バンクーバーを中心とした、広汎性発達障害の子どもへの支援について 一つの訴訟を契機として、BC州では6歳までのPDD児の保護者に年間200万円の補助が支給されることになり、保護者が希望する支援サービスを受けられるようになった。本研究では、NPO法人であるACT(Autism Community Training)の活動を中心に、BC州での支援について調査した。ACTは保護者のへ啓発活動を進める一方で、サービス提供者のリストを公表し、保護者が支援サービスを選択する際の情報として利用されている。さらにPDDに関するワークショップを積極的に開催している。また州政府でも、新たな動きがあり、MCFS (Ministry of Child and Family Supports :子ども家庭支援省)と呼ばれる、福祉を担当する行政組織を2005年に新たに設置した。州の予算を教育・保健・福祉に関わる行政機関だけではなく、個別支援やNPOなどの民間活動のニーズに沿って財政的サポートも行っている。ACTと連携を持つ組織には、公的・私的な支援センター、大学の障害児教育関係者、など数多くあり、横のつながりの重要性を示している。このようなつながりを検討することは、これからの日本でも大変参考になると思われ、日本において可能性のある支援システムをさらに検討したい。
|
Research Products
(7 results)