2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子の肺胞壁通過機構の解明と細胞毒性評価法の開発
Project/Area Number |
16390186
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
古山 昭子 (河越 昭子) 独立行政法人国立環境研究所, M2・5・DEP研究プロジェクト, 主任研究員 (20177661)
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Keywords | ナノ粒子 / 吸入毒性 / 肺胞壁培養系 / 肺胞壁通過 |
Research Abstract |
様々なナノ材料の吸入曝露毒性影響評価に資するために、1)肺胞壁を模した肺胞上皮細胞・血管内皮細胞培養系を用いた、粒径の異なる粒子認識機構の相違の解明、2)実験動物に気管内投与した粒子の肺胞壁通過と体内動態、3)実験動物に気管内投与したナノ粒子の肺・循環機能への影響を検討することを目的として、以下の成果を得た。 1)粒径20nmと200nmの蛍光標識されたポリスチレン粒子と金コロイド粒子をラット由来の肺胞上皮細胞を用いた培養組織に添加して、細胞内シグナル伝達系のリン酸化を検討した。ストレス反応としてのMAP kinaseやJNK、AKTのリン酸化は毒性の弱い粒子では弱く、特に20nm粒子は200nm粒子と比較して弱かった。 2)粒径20nmと200nmの金コロイド粒子と蛍光標識ポリスチレン粒子をマウスに気管内投与し、形態的及びICP-MSで粒子の通過機構と体内動態を検討し、肝臓等への移行が検出された。20nmと200nm粒子はマクロファージに貪食された後、循環系に入り体内移行、20nm粒子は粒子単独で循環系に入り体内移行する可能性が示された。 3)マウスにカーボン、フラーレン、カーボンナノチューブ、二酸化チタンを気管内投与し、肺への影響を検討した。組織染色ではNF-κBの核移行は検出されなかったが、ELISAで検討したサイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-α、TGF-β)はアスベストと比較するとごく弱いものの50μgのカーボンナノチューブ投与で分泌が亢進していた。形態的にも50μgと10μgのカーボンナノチューブ投与で肺の炎症、肉芽腫、部分的な線維化が認められ、ニッケル含量の多いシングルウォールのカーボンナノチューブで影響が強かった。カーボンナノチューブはほとんどが肺胞マクロファージに貪食されていたが一部上皮細胞に刺さっている像も観察された。
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Research Products
(2 results)