2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス国における肺吸虫症の診断および空間疫学的研究
Project/Area Number |
16390188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
中村 哲 国立国際医療センター研究所, 室長 (40207874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院・生命科学医療センター, 教授 (80207802)
波部 重久 福岡大学, 医学部, 講師 (70037430)
三好 美紀 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30361463)
二瓶 直子 国立感染症研究所, 客員研究員
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Keywords | ラオス / 肺吸虫症 / 診断 / 空間疫学 / 中間宿主 |
Research Abstract |
本年度における研究は現地野外調査を主体とし、ラオスの肺吸虫流行地の特定および寄生虫種、第二中間宿主の種の同定を主眼とした。 野外調査では、ラオス側研究協力者によってビエンチャン特別市北部で肺吸虫症有病地区の存在が確認された。このことから、ビエンチャン特別市を対象地域として肺吸虫第二中間宿主の調査を8月および12月に実施した。8月には市域中央6箇所の市場のサンプリングで得た総計300個体のカニ(Somaniathelpusa属の1種および他の大型種)を解剖し検査を実施したが、肺吸虫メタセルカリアは検出されなかった。12月にはビエンチャン市北部域の市場および肺吸虫症有病地で採取した3属4種のカニ、総計312個体を剖検した。市場で得たSomaniathelpusa属2種(剖検数291個体および9個体)からは肺吸虫メタセルカリアが検出されなかった。しかし、有病地で得たPotamiscus sp.(7個体)およびParathelpusa sp.(5個体)から同メタセルカリアに属するものと考えられる種をそれぞれ100%および20%の割合で検出した。前者のPotamiscus種のカニからは、総数で681個のメタケルカリアを回収し、これを形態から大型種(578個)、中間型種(99個)および小型種(4個)に分類した。我々は、これらの種がこの地域のヒト肺吸虫症の起因と考え、同定を進めている。現在のところ小型種がParagonimus heterotremusである事が判明している。また、後者のParathelpusa種から得られたメタセルカリアは、Paragonimus westermaniであった。同定された、これらの個体の検出頻度は低いものにとどまった。また上記で得られたメタセルカリアの殆どは、宿主であるカニの筋肉の部位に分布していた。一方、この地域のヒト肺吸虫症の起因種については本年度3月に予備調査を実施した。 以上のように本年度の研究成果として、ラオスの肺吸虫症有病地と第二中間宿主となる種の特定がなされた。また、これ等の宿主から既知のヒト肺吸虫であるP.heterotremusおよびP.westermaniを確認した他、ラオスでは未報告である可能性の高い種類が確認され、その感染数は高いものであった。
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Research Products
(2 results)