2005 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被爆者コーホートにおける免疫学的指標と遺伝子多型ならびに疾患発症との関連性
Project/Area Number |
16390190
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Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
楠 洋一郎 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学・分子疫学部, 副部長(研究員) (60333548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 奉権 , 財団法人・放射線影響研究所・放射線生物学・分子疫学部, 室長(研究員) (70333549)
京泉 誠之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (50333547)
箱田 雅之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (70208429)
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Keywords | コーホート研究 / 細胞性免疫 / 遺伝子多型 / 分子疫学 / 放射線 |
Research Abstract |
本研究は、様々な疾患に対する個体の感受性を規定する可能性のある免疫関連遺伝子の多型を同定する目的で、放射線影響研究所の原爆被爆者コーホートにおける免疫関連遺伝子の多型を網羅的に解析し、末梢血中のT細胞サブセットの割合やサイトカインレベルを中心とした細胞性免疫指標との関連性を明らかにする。本年度は以下の成果が得られた。 1、末梢血T細胞集団におけるTREC数を測定するリアルタイムPCR法の確立し、これまでに測定を完了した原爆被爆者445名について、性、年齢、および被ばく線量を変量とした多重回帰解析を行った。CD4 T細胞集団におけるTREC数は女性で有意に多く、男女とも加齢につれ有意に減少し、被爆時の年齢が20歳未満の対象者では、被ばく線量の増加とともに低下する傾向(p=0.09)が示唆された。この結果は、原爆放射線被ばくによる胸腺でのCD4 T細胞産生の長期低下の可能性を支持する。さらに測定数を拡大して胸腺T細胞産性能と被ばく線量関係、ならびにその関係における免疫関連遺伝子の多型の関与を検討する予定である。 2、これまで原爆被爆者における炎症バイオマーカーの上昇を数百名規模の調査で観察してきたが、今年度、広島の被爆者約2,300名について、炎症性サイトカインTNF-α、IFN-γ、IL-6の血漿中レベルならびに遺伝子SNP解析を完了した。現在、表現型と遺伝型の関連分析を行っている。 3、ナイーブCD4T細胞比率の測定とCD45遺伝子のSNP解析を完了した被爆者で、癌および炎症性疾患の既往のない517名について、表現型と遺伝型の関連分析を行った。CD45遺伝子領域のハプロブロックCD45_hb1の多型はナイーブCD4 T細胞の割合と有意に関係していたが、ナイーブCD4 T細胞の線量依存性低下に多型との相互作用は認められなかった。
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Research Products
(3 results)