2006 Fiscal Year Annual Research Report
原爆被爆者コーホートにおける免疫学的指標と遺伝子多型ならびに疾患発症との関連性
Project/Area Number |
16390190
|
Research Institution | Radiation Effects Research Foundation |
Principal Investigator |
楠 洋一郎 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 副部長 (60333548)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 奉権 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 免疫学研究室長 (70333549)
京泉 誠之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (50333547)
箱田 雅之 安田女子大学, 家政学部, 教授 (70208429)
|
Keywords | コーホート研究 / 細胞性免疫 / 遺伝子多型 / 分子疫学 / 放射線 / ウイルス肝炎 / サイトカイン / 炎症 |
Research Abstract |
本研究は、様々な疾患に対する個体の感受性を規定する可能性のある免疫関連遺伝子の多型を同定する目的で、放射線影響研究所の原爆被爆者コーホートにおける免疫関連遺伝子の多型を解析し、末梢血中のT細胞サブセットの割合やサイトカインレベルを中心とした細胞性免疫指標ならびに炎症性疾患との関連性を明らかにする。本年度は以下の成果が得られた。 1、原爆被爆者のT細胞メモリーがいかに維持されているか評価する目的で、CD43の発現レベルで識別可能な3つの機能的に異なるメモリーCD4 T細胞サブセットの測定をフローサイトメトリーを用いて行った。これらのサブセットは、機能的に成熟したメモリー細胞、抗原刺激に対する応答が弱い細胞、および抗原不応答でアポトーシス感受性の細胞から構成されるが、末梢血CD4 T細胞における割合は、いずれにおいても加齢に伴う有意な増加が認められ。また、機能的に劣弱および不応答なサブセットの割合に被ばく線量依存性の増加が示唆された。 2、HCV抗体陽性例と陰性例について、末梢血リンパ球サブセットの割合、Th1/Th2バランス、血漿中の炎症性サイトカインレベルと肝病態との関連を検討した。HCV感染者は非感染者に比して、Th1/Th2バランスはTh1優位になっており、血小板数低下などの肝病態の進展とともにTh1優位の免疫応答がさらに増強していた。また、それに伴い炎症性サイトカインの産生が亢進され、肝機能障害を誘導していることが示唆された。 3、炎症性サイトカインTNF-α、IFN-γ、IL-6の血漿中レベルならびにCD4T細胞のCD45アイソタイプ発現とこれら表現型の当該遺伝子多型との関連分析を行った。その結果、これらの表現型の線量依存性変化に多型との相互作用は認められず、原爆放射線の細胞性免疫に対する影響に個人の遺伝的背景が関与する可能性を支持する知見は得られなかった。
|
Research Products
(4 results)