2006 Fiscal Year Annual Research Report
補中益気湯による気道粘膜免疫系制御ネットワーク調節候補分子の変化の網羅的解析
Project/Area Number |
16390201
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山田 陽城 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (60096691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清原 寛章 北里大学, 北里生命科学研究所, 助教授 (70161601)
永井 隆之 北里大学, 北里生命科学研究所, 講師 (00172487)
松本 司 北里大学, 北里生命科学研究所, 講師 (00173906)
前田 忠計 北里大学, 理学部, 教授 (90265728)
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Keywords | 補中益気湯 / 粘膜免疫 / 腸管免疫 / バイエル板 / リンパ球 |
Research Abstract |
補中益気湯の気道粘膜免疫系の賦活化機序として、補中益気湯が腸管免疫系に作用し、共通粘膜免疫機構を介して気道粘膜免疫系を賦活化する可能性が示唆されている。しかしながら、補中益気湯の腸管免疫系に対する調節作用については殆ど明らかではない。そこで、腸管における最も重要な生体防御機能の一つである抗原特異的分泌型IgA抗体産生に対する補中益気湯の影響について検討を行った。ポリ乳酸・グリコール酸共重合体を基材として卵白アルブミン(OVA)を抗原とするOVA内包微粒子を作成し、経口投与した。一定期間後、腸洗液および鼻腔洗液を調製し抗体価を測定した。その結果、補中益気湯エキスは粘膜免疫系の賦活化作用を有し、粘膜面における抗原特異的な分泌型IgA抗体の産生を促進する作用を有することが明らかとなった。次に、補中益気湯エキスの各種免疫調節作用発現における腸上皮細胞の役割を明らかとする目的で、腸上皮細胞のサイトカイン類発現に及ぼす補中益気湯エキスの作用について検討を行った。腸上皮細胞株MCE301細胞を補中益気湯エキスで刺激した結果、granulocyte colony stimulating factor(G-CSF)産生が濃度依存的に促進されることが明らかとなった。次に、補中益気湯エキスの分画画分について検討を行った結果、高分子性粗多糖画分(F5画分)に補中益気湯エキスと同程度の活性が認められた。この結果より、F5画分がG-CSF産生を促進する主要な活性画分であることが示唆された。G-CSFは、好中球系前駆細胞に対してその増殖および分化を促進する作用を有し、さらに成熟好中球に対しては遊走能、付着能、貪食能、殺菌能などを亢進させる作用を有していることから、臨床的に観察される各種感染症に対する抵抗性の増強を始めとする補中益気湯の免疫賦活作用の一部には、腸上皮細胞からのG-CSF産生促進作用が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)