2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性膵炎発症の分子機構:CFTRと膵管腔内センサー分子の研究
Project/Area Number |
16390206
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
成瀬 達 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (50180550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 孝晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (20135388)
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (90303651)
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 疾患モデル教育研究センター, 講師 (20183527)
古家 園子 自然科学研究機構, 生理学研究所, 助手 (20096952)
長浜 真人 三重大学, 医学部, 講師 (50198355)
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Keywords | 慢性膵炎 / 水輸送 / HCO_3^-輸送 / CFTR / Na^+-H^+交換(NHE) / fibrocystin / 遺伝子変異 / RNAi |
Research Abstract |
慢性膵炎発症の分子機構を解明するため、膵の水とHCO_3^-輸送に中心的役割を果たすcystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)ならびにCFTRにより調節される各種イオン輸送担体と導管腔内センサー分子の遺伝的変異とそれによって生じる機能障害の解析を行った。 1.日本人の慢性膵炎患者におけるCFTR遺伝子の全エクソン領域を解析し、新たな点変異(L1156F)を発見した。この変異CFTRを培養細胞(HEK293)に発現させクロライドチャネル活性を測定した所、野生型CFTRの約30%であった。 2.高感度Cl^-電極を用いて慢性膵炎患者のCFTR機能を簡便に測定できる指先汗クロライド試験を開発した。 3.慢性膵炎患者に認められる中等度のCFTR機能が膵の水とHCO_3^-輸送に与える影響を調べるため、モルモットのCFTR遺伝子の全塩基配列を決定した。この遺伝子構造よりRNAiを用い、モルモット単離膵導管におけるCFTRのノックダウンを試みた。セクレチン刺激下の膵導管細胞の水分泌は、CFTRをノックダウンにより約40%低下した。本法が慢性膵炎における膵導管細胞機能解析の良いモデルになると考えられた。 4.膵導管細胞の管腔膜に存在するNHEは、CFTRとcAMPにより調節されており、膵液のpH調節に重要な役割を担っている。嚢胞性線維症の原因として最も頻度の高いΔF508変異を導入したトランスジェニックマウス(ΔFマウス)を用いて、Na^+-H^+交換(NHE)の機能を検討した。通常はCFTRが管腔膜のNHEを抑制しているが、CFTR機能が障害されているΔFマウスでは、膵導管細胞管腔膜NHEの活性が大きくcyclic AMPによってさらに増大した。嚢胞性線維症では、NHEが膵液の酸性化に関与している可能性が示唆された。 5.導管細胞の繊毛は管腔のセンサー機能を担っていると推定される。繊毛に発現するfibrocystin遺伝子に変異を有するPKDラットより膵導管細胞を単離して、管腔内圧を変化させ細胞内Ca^<2+>濃度を測定した。管腔内圧を低下させると細胞内Ca^<2+>濃度が上昇した。即ちPKDラットでは管腔内の圧情報の伝達機構に異常があることが、明らかとなった。
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Research Products
(6 results)