2005 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎におけるNK細胞レセプターを介した樹状細胞の機能制御とその分子機構の解析
Project/Area Number |
16390207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹原 徹郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70335355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
考藤 達哉 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教授 (80372613)
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 特任助手(常勤) (20397699)
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Keywords | NK細胞 / 樹状細胞 / C型肝炎 / ウイルス / NKG2A / 肝がん / 先天免疫 |
Research Abstract |
Natural killer(NK)細胞の活性は活性化レセプターと抑制性レセプターのバランスの上に制御されている。また、NK細胞は初期免疫に関与する免疫担当細胞であるが、近年その後の獲得免疫応答形成への影響が注目されている。昨年度、C型肝炎患者のNK細胞では抑制レセプターであるCD94/NKG2Aの発現頻度が上昇していることを見出し、これが肝がん細胞に対する傷害活性を低下させ、樹状細胞(DC)の成熟を抑制することを報告した。本年度はHLA-EとCD94/NKG2Aのシステムがどのような液性因子を介して、DCの成熟に対して阻害的に働くかを検討した。肝がん細胞株Hep3BとNK細胞の混合培養系の培養上清のサイトカインプロファイルをELISAを用いて検討すると、C型肝炎患者のNK細胞を用いた場合は健常者のNK細胞を用いた場合に比べ、IFNγとTNFαの濃度が低く、逆にIL-10、TGFβの濃度が高いことが示された。Hep3B細胞とC型肝炎患者のNK細胞の混合培養系にNKG2A中和抗体を添加した時とコントロール抗体を添加したときの培養上清中のサイトカインプロファイルを検討すると、NKG2Aのシグナルをブロックすることにより、IFNγやTNFαの濃度が上昇し、逆にIL-10、TGFβの濃度が低下した。DCに対するIFNγやTNFαの添加実験や、IL-10やTGFβのブロック実験を行うことにより、このようなサイトカインプロファイルの変化がDCの成熟に対して抑制的に働くことが示された。以上より、NK細胞はCD94/NKG2Aシグナルが過剰に入ることにより、IFNγ、TNFαの産生抑制とIL-10、TGFβの産生亢進がおこり、このようなことがDC機能の負の制御、ひいては獲得免疫応答の形成に抑制的な影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(6 results)