2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌性悪液質に関するトランスレーショナルリサーチ -特に消化管ペプチドグレリンの病態的意義から治療応用まで-
Project/Area Number |
16390208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
乾 明夫 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80168418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤宮 峯子 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (10199359)
大日向 耕作 京都大学, 大学院・農学研究科, 講師 (00361147)
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Keywords | 癌性悪液質 / グレリン / 悪液質モデル / 食欲調節ペプチド / 視床下部 / 消化管運動 / 摂食行動 / 合成ペプチド |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画にもとづき、行った研究と得られた知見の概要は以下の如くである。 1)グレリンアゴニスト、GHRP-2の作用解析-特に食欲・消化管運動調節(乾、藤宮、Bowers) GHRP-2の作用をマウス、ラット及びイヌを用いて比較検討した。GHRP-2はいずれの種においてもGHの分泌を促進し、また摂食行動を誘発したが、消化管運動に及ぼす影響はイヌにおいては軽徴であった。 2)悪液質モデル動物を用いた検討(乾) ヒト肺癌細胞(LC-6)及び大腸癌細胞(colon 26)を用い、癌性悪液質が飢えに対する応答とどのように異なるかを検討した。視床下部の食欲調節ペプチドのmRNAをRT-PCRを用いて検討すると、飢えに対する応答では強力な食欲促進系のNPY/AgRPの活性化及び食欲抑制系のMC/CARTの抑制が生じるのに対し、癌性悪液質ではNPY/AgRPの活性化が不十分であることが明らかとなった。担癌マウスを用いて、GHRP-2の食欲・体重に及ぼす影響とそのメカニズムを検討し、NPY/AgRPの活性化がその一因であることを確認した。 3)臨床病態の解析及び悪液質の治療(Bowers、Mantovani、Meguid) GHRP-2を吸入薬として投与し、うつ病に伴う悪疫質の改善効果を検討した。GHRP-2投与は、少なくとも短期的に、悪液質患者の食欲やQOLを改善することを確認した。 4)合成ペプチドの作製(大日向、Bowers) GHRP-2をプロトタイプとしたより強力なグレリン様ペプチドの合成は、GH分泌能をスクリーニングに作製し、同等以上の強さを有する化合物を作製した。モチリンとのハイブリッドペプチドは、まだlow affinityのものしか得られていない。
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Research Products
(7 results)