2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390214
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
菅野 健太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (60179116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50275707)
大澤 博之 自治医科大学, 医学部, 助手 (70260833)
岩本 美智子 自治医科大学, 医学部, 助手
|
Keywords | 腸上皮化生 / 分化型胃癌 / CDX / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
転写因子CDX1,2を壁細胞に発現させるトランスジェニックマウスを作成すると、固有胃粘膜がやがて腸上皮化生粘膜に置き換わることを報告してきた。ただ、CDX1,CDX2トランスジェニックマウスの腸上皮化生の性状は、同一ではなく、それぞれの転写因子の作用は一部重複するものの、同一ではないことが明らかにされた。これはGut誌に発表している。またこれらのトランスジェニックマウスのうちCDX2発現マウスモデルでは、長期間飼育(2年)すると胃粘膜に腫瘍が形成され、粘膜下層や筋層に浸潤する癌の発生が高率に観察された。このマウスに認められる胃腫瘍は、ヒトで腸上皮化生を背景に発生すると考えられる分化型腺癌と同様の形質を示していた。これらの腫瘍の分子異常を検討すると、p53遺伝子異常やAPC遺伝子異常が高頻度に認められ、ヒトの胃癌に認められる遺伝子異常と類似していることがあきらかとなった。この研究はCancer Research誌に発表した。このように、CDX2トランスジェニックマウスは、腸上皮化生から分化型胃癌が発生する過程を明らかにする上で極めて有用なモデルとなると考えられる。さらに、CDX2トランスジェニックマウスでは、腸上皮化生の形成とともに、上皮細胞を支持する基底膜側に分布する線維芽細胞が腸型の形質に転換していることも明らかにした。このように、腸上皮化生は単に上皮細胞だけの形質転換ではなく、Epithelial-Mesenchymal Interatactionにも大きな変化が起きていることをはじめて明らかにした。この研究はGut誌に発表している。 さらに腸上皮化生が、単に胃粘膜にとどまらず、他の臓器における炎症や腫瘍発生に関与している可能性を考え、手術で摘出した胆嚢における発現を検討したところ、胆嚢に腸上皮化生が起きており、CDX2が発現していることを見出した。これはAm.J.Surg. Pathol.に報告した。このように、腸上皮化生からの発癌は胃にとどまらず、食道(Barrett腺癌)、胆嚢がんなどより広範な発癌に関与している可能性があることが示唆された。
|
Research Products
(6 results)