2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16390214
|
Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
菅野 健太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (60179116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 貴一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50275707)
武藤 弘行 自治医科大学, 医学部, 講師 (50322392)
大澤 博之 自治医科大学, 医学部, 助手 (70260833)
|
Keywords | 腸上皮化生 / 分化型胃癌 / CDX / トランスジェニックマウス / SHH |
Research Abstract |
転写因子Cdx1,Cdx2を壁細胞に異所性に発現させるトランスジェニックマウスを作成し、これらのマウスの胃粘膜が腸上皮に変換すること(BBRC 2002、Gut 2004)、Cdx2トランスジェニックマウスでは、腸上皮化生粘膜から胃癌が発生することを論文発表した(Cancer Res.2004)。これらのマウスは、腸上皮化生発生機構や腸上皮化生から分化型胃癌発生機構を解明するうえで有用なモデルとなることが期待される。このマウスの腸上皮化生粘膜では、単に上皮細胞のみの形質転換だけではなく、支持組織である間葉系細胞も変化することを見出した(Gut 2005)。さらに、腸上皮化生における内分泌系細胞の誘導には、別の転写因子Math1の関与があることも明らかにしえた(Differentiation2006)。胃の腸上皮化生は胃炎を母地として発生するが、この過程で酸分泌の低下とともに、Cdxが発現してくる。われわれは、除菌すると酸分泌が壁細胞の増加を伴わず劇的に回復することを明らかにした(Gut 2006)が、この過程にはCdxとは別の形態形成遺伝子Sonic Hedgehog (SHH)が一部関与する可能性がある。SHHは胃では壁細胞に発現し、萎縮の進行とともに発現が低下するが、除菌によりその発現が回復することをわれわれは見出している。またSHHは胃粘膜細胞増殖活性を有していることも明らかにした(BBRC2006)。このように腸上皮化生の発現にはCdxのみならず複雑な形態形成遺伝子間の相互作用があることが明らかになりつつある。一方腸上皮化生を介する発癌経路は、胃癌のみならずBarrett食道癌、胆道癌、膵癌など他の臓器においても存在する。今後、腸上皮化生の形成とそれを経由する発癌機構の解明は、高齢化社会における疾病機構の解明の重要な課題であり、今後も研究を継続する予定である。
|
Research Products
(6 results)