2004 Fiscal Year Annual Research Report
TGF‐β活性化反応を標的とした肝疾患の診断と制御
Project/Area Number |
16390215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小嶋 聡一 独立行政法人理化学研究所, 分子細胞病態学研究ユニット, 研究ユニットリーダー (10202061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 裕 独立行政法人理化学研究所, 分子細胞病態学研究ユニット, 協力研究員 (80392108)
奥野 正隆 国立大学法人岐阜大学, 医学部消化器病態学第一内科, 助教授 (10204140)
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Keywords | 劇症肝炎 / TGF-β活性化 / 血漿カリクレイン / プラスミン / 切断面認識抗体 / プロテアーゼ阻害剤 / 肝星細胞 / Smad |
Research Abstract |
1・プロテアーゼ断片化TGF-β抗体の作製: 潜在型TGF-β1は、プラスミン(K55-L56)、血漿カリクレイン(R58-R59)、MMP3(A79-L80)によって切られ活性化されるが、MMP2やMMP9では切断されず活性化されないこと、潜在型TGF-β3も潜在型TGF-β1と同じ部位で同じ酵素によって切断され活性化を受けること、これに対して潜在型TGF-β2はMMP9で切断され活性化されるらしいことがわかった。各切断面を特異的に認識する抗体の作製に取組み、血漿カリクレイン切断面のR58もしくはR59のみを認識する非常に特異性の高い抗体の作製に成功した。すなわち、これらの抗体は、切断されていないLAPや、プラスミンやMMP3で切断されたLAPは認識しなかった。 2・ヒト疾患組織標本の染色: 各種硬化性疾患患者の病理組織切片を染色したところ、上記血漿カリクレイン切断面に対する抗体、特にR58に対する抗体により劇症肝炎の患者肝臓が強く染色されるのに対して、肺塞栓症患者の正常肝は染まらないことを見い出し、世界で始めてヒトの病態形成過程においてプロテアーゼによるTGF-β活性化反応が起きていることを証明し、ヒトでもプロテアーゼインヒビターが肝疾患を予防できる可能性を示唆した。さらに、標準物質を用いて血漿カリクレインで切断されたLAP断片を検出するELISAの系を確立した。 3・硬化性疾患の制御に関する研究: これまでの研究でプロテアーゼインヒビターによる肝星細胞の活性化の抑制を増強する活性を示していたサイトキサゾンは、TGF-βのシグナル伝達因子であるSmad2のリン酸化やSmad3の発現・リン酸化を抑制することにより、TGF-βのシグナルをブロックし、in vitroにおいて肝星細胞の活性化を抑えたり、in vivoモデルにおいて肝再生不全を改善することを見い出した。
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Research Products
(6 results)