2004 Fiscal Year Annual Research Report
Vasa vasorum血管新生および血管平滑筋細胞の分化異常の分子機構の解明
Project/Area Number |
16390216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, 医学系研究科, 教授 (00215047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 昌史 群馬大学, 医学部, 講師 (60270857)
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Keywords | 低酸素 / 血管平滑筋細胞 / チロシンキナーゼ / ミトコンドリア / HIF-1α / 活性酸素種 / 血管新生 / PAI-1 |
Research Abstract |
私たちはこれまでに,血管内皮細胞を低酸素条件で培養すると,チロシンキナーゼを介する系で低酸素反応性遺伝子が誘導されることを明らかにした.しかしながら,低酸素におけるチロシンキナーゼの活性化の詳しい機構は明らかにされていない.また,低酸素により細胞内にミトコンドリア由来の活性酸素種が産生されることは血管内皮細胞や肝細胞などで知られているが,乳血管平滑筋細胞においては明らかな報告がない.ミトコンドリア由来の活性酸素種とシグナル伝達因子の関連も詳しく知られていない.そこで私たちは血管平滑筋細胞においてミトコンドリアの機能が活性化され活性酸素種が産生されるか,低酸素反応性遺伝子であるPAI-1やVEGFなどの遺伝子,あるいは低酸素依存性転写因子であるHIF-1α蛋白の,低酸素による発現誘導に活性酸素種またはチロシンキナーゼ依存的なシグナル伝達経路が重要であるかを検討した。その結果、(1)血管平滑筋細胞において低酸素によりミトコンドリア内で活性酸素種が産生されること,(2)産生された活性酸素種がc-Srcを活性化すること、および(3)過酸化水素の産生とc-Srcの活性化は、低酸素によるHIF-1α蛋自の活性化およびHIF-1aの標的遺伝子PAI-1遺伝子の発現誘導に重要であることの3点が明らかになった。PAI-1の発現亢進は、プラーク内の新生血管形成やvasa vasorum内の血栓形成を促進し、急性冠症候群の発症に直結する不安定プラーク破裂の重要な原因である。したがって、動脈硬化巣における低酸素が、急性冠症候群を引き起こすメカニズムを分子レベルで解析し得たことによって、本研究の成果は動脈硬化の新たな治療戦略の構築に貢献し得ると考えられる。
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Research Products
(3 results)