2005 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞の分化による心血管前駆細胞の同定と血管形成
Project/Area Number |
16390227
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小川 峰太郎 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70194454)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 心筋細胞 / 血管平滑筋細胞 / 中胚葉 / 胚性幹細胞 / 細胞運動 / 細胞接着 / 転写因子 |
Research Abstract |
1.心血管系を構築する細胞系列の分化決定 マウスES細胞から試験管内で分化させた中胚葉細胞による血管内皮細胞、血管平滑筋細胞および心筋細胞への分化をクローンレベルで同時に検出する実験系を構築した。その結果、中胚葉細胞集団中に内皮細胞、平滑筋細胞および心筋細胞への三分化能を持つ前駆細胞(心血管前駆細胞)を見いだした。転写因子GATA-2を発現する中胚葉細胞サブセットは血液細胞と内皮細胞には分化するが平滑筋細胞と心筋細胞への分化能を持たないことを見いだしたので、GATA-2の細胞運命決定における役割を解明するために、テトラサイクリン制御下にGATA-2を強制発現誘導するES細胞を作製した。クローンレベルの分化検出系を用いてGATA-2の機能解析を現在進めている。 2.血管形成の細胞生物学 (1)血管内皮細胞の運動性制御 蛍光蛋白で標識したVE-カドヘリンおよびクローディン-5を内皮細胞特異的に発現するES細胞を作製し、内皮細胞の運動におけるアドヘレンスジャンクションおよびタイトジャンクションの調節をタイムラプス解析する実験系を構築した。その結果、内皮細胞は細胞間ジャンクションを維持したまま運動するが、特に細胞運動の先端部では接着装置の動的なリモデリングが起きていることを明らかにした。 (2)転写因子による血管形成の調節 転写因子FOXO1を欠損する内皮細胞はVEGF刺激下での伸長応答を起こさず異常な形態を示すことを見いだした。内皮細胞の形態制御におけるFOXO1の役割を解明するために、foxo1欠損ES細胞を基礎にしてテトラサイクリン制御下にFOXOファミリー転写因子の発現をレスキューする実験系を構築し現在その解析を進めている。また、Notchシグナルによる内皮細胞の増殖抑制にFOXO1が必要であることを見いだし、FOXO1が内皮細胞において多様な機能を担うことを明らかにした。
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Research Products
(4 results)