2004 Fiscal Year Annual Research Report
NRSF/NRSEによる転写制御機構の破綻と慢性心不全発症・進行機序の解明
Project/Area Number |
16390228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
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Keywords | ANP / BNP / NRSF / 過剰発現マウス / 心不全 |
Research Abstract |
心不全は、あらゆる心疾患の終末像でその原因疾患の病態的特徴に基づいて左心不全、右心不全、収縮不全、拡張不全等々に分類されている。しかし、いずれのタイプの心不全も進行性であり、末期にはポンプ失調あるいは致死性不整脈が原因と考えられる突然死によって不幸な転帰をとる予後不良の症候群である。この様な観点から、すべての心不全の進行過程には、ポンプ失調と催不整脈性の双方に陥る共通の分子基盤、あるいは両者の因果関係を有機的に繋げる分子基盤の存在が示唆される。 我々は、胎児型遺伝子統合的転写調節機構であるNRSF/NRSE系を人為的に破綻させたマウス、すなわち、心筋細胞に特異的にdominant negative NRSFを過剰発現するマウスを作製すると、拡張型心筋症様の形態変化とVfに起因する突然死することを見いだした。 本研究では、NRSF標的遺伝子の中から心不全あるいは催不整脈性とリンクしている遺伝子の検出を行った。DNAアレイの結果から、GalphaO(Gαo)、CACNA1Hを候補遺伝子とした。それぞれの遺伝子をαMHCの制御下過剰発現マウスを作製すると、Gαo過剰発現マウスは、正常に出産し、野生型マウスと成長の早さ体重変化等は差が無く、生後20週齢までは、早死にしない。心エコー上心肥大、心不全等も呈していない。 また、CACNA1Hの心臓過剰発現マウスは出生頻度がメンデルの法則より逸脱しており、胎児期に何らかの異常が存在すると思われる。そこで、現在はテトラサイクリン誘導型過剰発現マウスを作成している。 また、一般の心不全でNRSF/NRSE系が機能しているかを検討するためにヒト心不全組織やマウス心筋梗塞や大動脈縮窄モデルを作成してNRSFの標的遺伝子の発現を検討しているが、BNP遺伝子以外NRSFで制御されている遺伝子を見いだせていない。
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Research Products
(5 results)