2004 Fiscal Year Annual Research Report
IgA受容体分子からみたIgA腎症発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
16390242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 一衛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20272817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂爪 実 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (70334662)
近藤 大介 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員
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Keywords | IgA腎症 / ゲノム医学 / IgA受容体 / メサンギウム増殖性腎炎 |
Research Abstract |
本研究は、ヒトIgA腎症の発症メカニズムをIgA分子の受容体および処理機構の観点から解析し、その役割を明らかにすることを目的として開始された。現在まで、IgA受容体分子の内、多価免疫グロブリン受容体(pIgR;polymeric immunoglobulin receptor),IgA Fc部分に対する受容体(FcαR),アシアロ糖蛋白受容体(ASGPR;asyalo-glycoprotein receptor)IgA1について解析し報告してきたが、本年度は、新たに同定されたトランスフェリン受容体(TfR;Transferrin receptor)について解析し、現在論文を準備中である。 一方、IgA1分子のヒンジ部の糖鎖不全が、IgA受容体への親和性獲得に重要であり、IgA腎症の病態に深く関わっていることが報告され、それを裏付ける動物モデルも発表されている。しかし、臨床例で多数の検体を解析することや、治療に対する反応などを経過を追って観察することは、現在の複雑な工程が必要な糖鎖解析方法では、現実に不可能であった。そこで、私共は、簡便・迅速なIgA糖鎖不全の測定方法を開発し、臨床応用に向けて検討を重ねている。 臨床的な観察では、IgA腎症に対する扁桃摘出術の長期的な治療効果を証明し、高い評価を得た。また動物モデルで、半月体形成性糸球体腎炎に対するBezafibrateの治療効果を報告した。IgA腎症のうち、半月体形成を伴う急性所見を呈する症例では、腎機能が急速に低下する症例があり、これらの症例に対して、従来の副腎皮質ステロイド薬等に加えて、Bezafibrate系薬剤が効く可能性がある。臨床試験を開始する予定である。 以上の他、免疫グロブリンのクラススイッチに関わる免疫グロブリンμ結合タンパク2の一塩基多型とIgA腎症発症の関連、TGF-β遺伝子多型とIgA腎症の重症度の関連、レニン-アンジオテンシン系(RAS)遺伝子多型とRAS阻害薬の治療効果の関連などについて、論文を発表した。
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Research Products
(7 results)