2005 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼの原因となる糸球体足細胞の機能不全を解析する新たなアプローチの開発
Project/Area Number |
16390247
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (10343485)
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Keywords | 糸球体 / 足細胞 / 蛋白尿 / 細胞培養 / スリット膜 / PCR / ネフローゼ |
Research Abstract |
足細胞は神経細胞と同様に終末分化細胞であり、足細胞の機能不全はすぐさま糸球体濾過に影響を及ぼし、蛋白尿の原因となる。本研究においては、新規ネフローゼラットと不死化足細胞培養株の特徴づけを行い、それらを用いて疾患に伴って変化する蛋白を見いだしてその発現制御について検討を進め、足細胞特異的なネフローゼモデルを開発して治療薬開発に役立てることを目的としている。本年度は次のことを明らかにした。1)正常な足細胞は細胞分裂を停止しているが、先天性ネフローゼラットでは足細胞の細胞周期が回り始め、S期に入った足細胞ではスリット膜蛋白の発現低下が低下していた。また、このような細胞ではWT-1の発現が低下していることも判明した。さらに、電子顕微鏡の観察により、足細胞の分裂像を捉えることに成功した。2)足細胞培養株において、細胞増殖期にある細胞では、近接した細胞に突起を延ばした状態を維持したまま、細胞分裂が起こることを見いだした。3)足細胞株の足突起形成にはcAMPのシグナルが重要であること、cAMPの上昇に伴い、アクチン線維の脱重合が起こることと微小管の再構築が突起形成の引き金になることを見いだした。4)新たなスリット膜分子として、タイト結合蛋白MAGI-1を同定し、この分子がスリット膜分子であるネフリンと直接結合すること、スリット膜が膜ドメイン形成に役割を演じる上で、MAGI-1が重要であることを見いだし、Lab Investに報告した。これらの成果の一部は日本解剖学会総会、日本腎臓学会総会および東京大学でのセミナーで発表した。
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Research Products
(7 results)