2006 Fiscal Year Annual Research Report
ネフローゼの原因となる糸球体足細胞の機能不全を解析する新たなアプローチの開発
Project/Area Number |
16390247
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (10343485)
|
Keywords | 糸球体 / 足細胞 / 蛋白尿 / 細胞培養 / スリット膜 / PCR / ネフローゼ |
Research Abstract |
足細胞は神経細胞と同様に終末分化細胞であり、足細胞の機能不全はすぐさま糸球体濾過に影響を及ぼし、蛋白尿の原因となる。本研究においては、新規ネフローゼラットと不死化足細胞培養株の特徴づけを行い、それらを用いて疾患に伴って変化する蛋白を見いだしてその発現制御について検討を進め、足細胞特異的なネフローゼモデルを開発して治療薬開発に役立てることを目的としている。本年度は次のことを明らかにした。1)足細胞に発現するJAM4分子に結合する新規分子LNXを見いだし、Oncogeneに報告した。2)メサンギウム増殖性腎炎モデルにおける修復過程にアクチンのサブタイプであるalpha-actinが重要な役割を演じていることを見いだし、J Histochem Cytochemに報告した。3)先天性ネフローゼラットにおいて、皮質の表層と深部でスリット膜関連分子の発現が異なることを免疫組織化学で見いだし、レーザーマイクロダイセクション法を用いて各部位における糸球体を切片から切り出し、PCRにて遺伝子の発現を調べた結果、表層では免疫組織化学の結果と同様にスリット膜関連分子ネフリンとポドシンの発現低下が確認できた。この結果は第6回国際ポドサイトシンポジウムにて発表した。4)細胞の形質転換に関与するsnail分子が腎炎発症時にスリット膜分子ネフリンの発現低下を導くことを見いだし、Lab Investに報告した。5)脱リン酸化酵素SHPを膜に誘導するSIRP-alpha分子が足細胞のスリット膜および基底側の膜に発現しており、足細胞膜分子のリン酸化を制御していることを見いだした。また、SIRP-alphaのリガンドであるCD47はメサンギウム細胞と内皮細胞に発現しており、SIRP-alphaとCD47の分子間相互作用は糸球体構築に重要であることが示唆された。この成果の一部は日本腎臓学会総会にて発表予定である。
|
Research Products
(7 results)