2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAマイクロアレイによる神経免疫疾患の新規治療標的探索と動物モデルによる検証
Project/Area Number |
16390258
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry (N.C.N.P.) |
Principal Investigator |
山村 隆 国立精神・神経センター, 疾病研究第六部, 部長 (90231670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 準一 国立精神・神経センター, 疾病研究第六部, 室長 (30274591)
三宅 幸子 国立精神・神経センター, 疾病研究第六部, 室長 (50266045)
|
Keywords | 多発性硬化症 / T細胞 / DNAマイクロアレイ / NR4A2 / 炎症 / インターフェロン / ケモカイン / 細胞死 |
Research Abstract |
研究代表者らは、多発性硬化症(MS)の末梢血T細胞の遺伝子発現プロフィルをDNAマイクロアレイで解析し、インターフェロン(IFN)で誘導される遺伝子(J.Neuroimmunol.139:109,2003)やMSの病態に関連して発現が亢進あるいは低下する遺伝子(Neurobiol.Dis 18:537,2005)を同定することに成功した。この中には、アポトーシス関連遺伝子、免疫寛容関連遺伝子、抗炎症性蛋白をコードする遺伝子などが含まれていた。本研究では、DNAマイクロアレイで同定されたMS関連遺伝子およびIFN治療関連遺伝子の機能的意義の解明と、それらを標的とする治療法の開発を目指した。MS関連遺伝子の中では、特に転写因子NR4A2(Nurr1)に関する検討を進めた。同遺伝子はT細胞活性化1時間以内に誘導される早期遺伝子である。NR4A2の標的遺伝子としてTh1サイトカインの一種であるオステオポンチン(OPN)が存在する。そこでNR4A2とOPNの発現量を測定したが、両者の間に相関関係は認められなかった。NR4A2と強く相関する遺伝子には、NFkBの特異的な標的遺伝子であるIKBアルファとIKBイプシロン、あるいはTNFで誘導されるTNFAIP3が見られた。以上の結果から、TNF刺激でNFkBが誘導され、その結果、一連の炎症関連遺伝子群が誘導される可能性が強く示唆された。MS治療における抗炎症療法の有用性を示唆する結果である。 一方、IFNで誘導される遺伝子の中には、炎症性サイトカイン(IL-6など)や炎症性ケモカイン(CXCR3リガンドなど)遺伝子が多く含まれており、IFNの早期副作用を説明する結果であった。以上の結果は、MS医療における抗炎症療法の有用性を示唆する。特にIFNの導入時には、漸増法やステロイド併用療法などの工夫が必要である。
|
Research Products
(2 results)