2005 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンと運動による糖代謝と血管拡張の分子メカニズム及びその障害機序の解明
Project/Area Number |
16390262
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 知一郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70242063)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佃 克則 東京大学, 医学部附属病院, 医員
藤城 緑 東京大学, 医学部付属病院, 医員 (50420211)
阿部 美穂 東京大学, 医学部附属病院, 医員
庄嶋 伸浩 東京大学, 医学部付属病院, 医員
櫛山 暁史 東京大学, 医学部付属病院, 医員
|
Keywords | 糖尿病 / インスリン / インスリン抵抗性 / 運動 / 糖輸送担体 / レジスチン |
Research Abstract |
我々は、Aktをbaitに用いたyeast two hybrid法によって、約200kDaからなる新規の結合蛋白を同定した。この結合は過剰発現の系のみならず、内因性に発現しているタンパク間でも、またGSTタンパクを用いたin vitroのシステムによっても確認された。さらに、他のAGCキナーゼには結合せず、AktのC端に特異的に強く結合することが示された。また、このタンパクを過剰発現させると、成長因子の非刺激下におけるAktのリン酸化レベルを顕著に上昇させる作用が認められたことから、我々はこのタンパクをAPE (Akt Phosphorylation Enhancer)と名付けた。Wortmannin やLY294002によってPI3-キナーゼを不活化するとAPEによるAktのリン酸化が認められないことから、APE自体がキナーゼ活性を有するのでは無く、結合することでAktをリン酸化されやすくするのか、または、Aktの脱リン酸化を抑制していることが示唆された。 APEの発現は殆どの臓器に認められるが、最も高い発現は精巣とマクロファージに認められた。siRNAを用いて、培養細胞のAPEの発現を抑制するとDNA合成が抑制されること、また、APEとAktを過剰発現させると、DNA rereplicationが引き起こされることから、APEは細胞増殖やcell cycleの調節に関与している事が示唆された。また興味深いことに、癌細胞では発現が上昇している株が約半数に認められた。そこで、Hela細胞においてsiRNAを用いてAPEの発現を抑制すると、Aktのリン酸化が低下すると共に、抗ガン剤によるアポトーシスがより低濃度で誘導されることが示された。 以上のことより、APEはAktを介したシグナル伝達の調節に重要な機能を有しており、糖代謝や血管機能に加え、細胞の増殖やアポトーシスの抑制に関与している事が強く示唆された。
|
Research Products
(6 results)