2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄ストローマ細胞による造血幹細胞の自己複製制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
16390274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 秀明 東京大学, 医科学研究所, 研究拠点形成特任教員(特任助教授) (30217723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
森川 吉博 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (60230108)
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Keywords | 造血幹細胞 / 骨髄間質細胞 / ストローマ / immune suppressor factor / ISF / mKirre |
Research Abstract |
本年度は、造血幹細胞の自己複製に関わる骨髄ストローマ細胞由来因子として我々が同定したISFおよびmKirreについて、それらが造血幹細胞を支持するメカニズムの解明を行った。 1.mKirreリガンドの同定:mKirre cDNAの細胞外領域を免疫グロブリンFc領域と融合させたmKirre-Fc融合蛋白を作製・精製した。マウス骨髄細胞・大脳からレトロウイルスcDNAライブラリーを作製、これをBaF3細胞に感染させ細胞表面に発現すると予想されるmKirre ligandを上述のmKirre-Fc融合蛋白を用いてFACSによるスクリーニングを行った。しかしながら、数回にわたるスクリーニングを行っても陽性クローンは得られず、mKirreリガンドの単離には至らなかった。2.ISFによる造血幹細胞支持能増強作用の骨髄移植モデルによる確認:ISFおよびそのshort formであるShIFを過剰発現した骨髄間質細胞MS10/ISF, MS10/ShIFを作製した。Ly5.1マウスより骨髄細胞を採取し、c-Kit+ Sca-1+ Lin- (KSL)細胞をFACSによりソート、これを放射線照射により不活化したMS10, MS10/ISF, MS10/ShIFの上で共培養し、1週間後回収した細胞を致死量放射線照射したLy5.2マウスに骨髄移植した。4・8・12週後に採血、末梢血中に存在するLy5.1陽性細胞の比率をFACSにより解析し、ISF/ShIFにより造血幹細胞が増幅しているか否かを検討した。MS10/ISF, MS10/ShIF上で共培養したKSL細胞はコントロールに比べて有為に高い効率で生着し、ISF/ShIFの過剰発現により造血幹細胞の支持能が増強することが明らかとなった。3.ISFの下流分子の探索:ISF過剰発現により引き起こされる細胞内遺伝子発現の変化を、MS10およびMS10/ISF, MS10/ShIFより抽出したmRNAを用いてcDNAマイクロアレイを用いて比較検討したところ、TIMP-3,SFRP-1の発現が減少し、MMP3の発現が上昇していることが明らかとなった。これらはRT-PCR、ノーザンブロット法によっても確認された。
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