2006 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞制御に関わる血管内皮細胞由来幹細胞因子の遺伝子プロファイリング
Project/Area Number |
16390275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高倉 伸幸 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80291954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 将也 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (20334766)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / 血管内皮細胞 / Tie2 / PSF1 / SLD5 / galectin-3 |
Research Abstract |
造血幹細胞は成体では骨髄の骨梁領域で骨芽細胞と密接に接着し、その細胞周期を遅延化させていることが明らかとなっている。この骨芽細胞ニッチは血管から離れており、低酸素であることが示唆されている。通常細胞は低酸素に陥ると細胞死が誘導されるが、どのようなメカニズムで幹細胞が低酸素抵抗性に細胞死を抑制し、細胞周期を遅延化しているのかについての分子論的な解析は充分になされていない。我々は、造血幹細胞と血管内皮細胞に共通して発現するTie2の機能解析をとおして、これらの細胞周期制御、および細胞死抑制の分子機構を明らかにしてきた。TIE2により負に制御されることが判明したPSF1遺伝子は従来の研究により、内部細胞塊のES細胞の増殖や、造血幹細胞の急速な増殖にDNAの複製開始の制御を介して必須であることが判明してきたが、本年度、このPSF1がS期のみならず、M期にも機能し、細胞の分裂を染色体分配という点で機能することを見いだした。このことは、酵母で解析されてきたPSF1のDNA複製における機能的意義に加え、造血幹細胞ではこのPSF1が、細胞の対称性あるいは非対称性分裂に関わることが示唆された。また、昨年度、このPSF1と結合する蛋白SLD5の単離に成功したが、このSLD5の遺伝子ノックアウトマウスを作成し、PSF1と同様SLD5ノックアウトマウスは受精卵の発生過程において内部細胞塊の形成不全が生じることが判明した。低酸素抵抗性の造血幹細胞の細胞死の抑制に関して、本年度Tie2の活性化により造血幹細胞において発現の上昇するgalectin-3について検討を行った。Bリンパ球系列の細胞株Ba/F3細胞にgalectin-3を過剰発現したところ、本細胞は低酸素培養下において、低酸素抵抗性を示したことから、造血幹細胞の低酸素抵抗性がgalectin-3の機能と関連することが示唆された。
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Research Products
(12 results)