2007 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞制御に関わる血管内皮細胞由来幹細胞因子の遺伝子プロファイリング
Project/Area Number |
16390275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高倉 伸幸 Osaka University, 微生物病研究所, 教授 (80291954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 将也 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (20334766)
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Keywords | 造血幹細胞 / 自己複製 / Tie2 / galectin-3 |
Research Abstract |
造血幹細胞は成体では骨髄の骨梁領域で骨芽細胞と密接に接着し、その細胞周期を遅延化させていることが明らかとなっている。造血幹細胞に発現する受容体Tie2は、骨芽細胞が分泌するアンジオポエチン-1による刺激により活性化を受けると、造血幹細胞と骨芽細胞の細胞接着が誘導されるとともに、造血幹細胞の細胞周期の遅延化が誘導され、造血幹細胞は休眠状態に入り、その分化も抑制されることが明らかになってきた。このTie2の活性化による造血幹細胞の未分化性持続の機構は、造血幹細胞を試験管内で維持する方法論においてアンジオポエチン-1の有用性を示唆するものである。しかし、造血幹細胞の増殖を誘導する手段としては、もう一つの細胞周期の遅延化の現象が妨げになり、幹細胞の試験管内増殖は困難となる。そこでTie2の活性化がいかなる分子機序により、幹細胞の休眠化に関与しているのかを解析する必要がある。そこで本研究ではTie2の活性化により造血幹細胞において発現の上昇することが判明したgalectin-3について検討を行った。galectin-3のノックアウトマウスを解析したところ、成体骨髄における造血幹細胞数が正常マウスと比較し3倍に増加していた。さらに、Tie2遺伝子のプロモーター制御下にgalectin-3を過剰発現する条件付きトランスジェニックマウスを作成したところ、本トランスジェニックマウスでは造血幹細胞の増殖が抑制され、胎児期早期に致死となることが判明した。このマウスの造血幹細胞では細胞周期を負に制御するP21の発現が亢進していた。以上より、造血幹細胞上のTie2の活性化は、galectin-3の発現を正に制御し、結果として造血幹細胞の休眠を誘導していることが明らかとなった。
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Research Products
(18 results)