2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍における異常シグナル伝達の解析と治療法の開発
Project/Area Number |
16390276
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
直江 知樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50217634)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恵美 宣彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30185144)
清井 仁 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90314004)
|
Keywords | シグナル伝達 / 発現クローニング法 / 造血器腫瘍 / チロシンキナーゼ / FLT3 / キナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
本研究においては、(1)我々が開発した発現クローニング法を用いて、造血器腫瘍の原因となる新しいシグナル分子異常の探索を行う、(2)特異性の高いチロシンキナーゼ阻害剤の探索と、臨床応用に向けた基礎研究を行うことを、目標とした。 (1)我々は、TEL遺伝子と融合することにより活性化し増殖を促進する遺伝子を発現クローニング法でスクリーニングする方法を開発した。次に、50名AML患者検体混合RNAからcDNAを合成し、FLT3遺伝子全長をPCR法で増幅し、32D細胞株を用いた発現クローニング法にて、変異FLT3が抽出できるかを検討した。6クローンが得られ、うち5クローンはITD型、1クローンはD835変異を有していた。このスクリーニング法の有用性が検証されたと考えられる。現在他のキナーゼ遺伝子で同様の検索を進め、一例において、新しいキナーゼ変異の可能性が示された。 (2)FLT3遺伝子変異を有するヒト白血病細胞株における増殖とFLT3キナーゼ酵素活性の抑制効果を指標に、FLT3特異的キナーゼ阻害剤の探索と構造展開を行った。FLT3阻害活性を有する新規リード化合物を数種類見出した。これらは、FLT3を含むがそれぞれ異なったキナーゼ阻害プロフィールを示した。これらは、変異FLT3を導入したマウスIL3依存性細胞株あるいは変異FLT3を有する白血病細胞株に対し、μM以下でアポトーシスを誘導した。また、上記の濃度でFLT3のリン酸化阻害、STAT5のリン酸化阻害効果を認めた。マウスへのマウスIL3依存性細胞株あるいは変異FLT3を有する白血病細胞株移植系において、腫瘍縮小効果ならびに生存延長効果を認めた。同時に腫瘍内のFLT3のリン酸化阻害、STAT5のリン酸化阻害効果も認めた。現在臨床検体を用いた検討を行っている。
|