2005 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κB/活性酸素種による造血制御機構の解析と造血不全の新たな治療法の開発
Project/Area Number |
16390278
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松村 到 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00294083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
水木 満佐央 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80283761)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60346202)
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Keywords | NF-κB / アポトーシス / 活性酸素種 / サイトカイン / ミトコンドリア膜電位 |
Research Abstract |
マウスIL-3依存性細胞株Ba/F3に造血因子受容体を発現させ、更に優性阻害型NF-κB(IκBSR)を誘導的に発現させると、低濃度のIL-3、EPO依存性増殖が抑制きれた。更に、IκBSRは、IL-3除去によるBa/F3細胞のアポトーシスを増強した。この際、IκBSR導入クローンではMockクローンに比べてミトコンドリア膜電位(Δψm)が低下していた。Δψmは活性酸素種(ROS)によっても制御されることから、IκBSRがIL-3除去後のROSの蓄積に及ぼす影響をFACSで検討した。MockクローンではIL-3除去後12時間でROSが軽度蓄積したが、IκBSR導入クローンではIL-3除去前からROSが過剰に蓄積し、IL-3除去後もそれ以上は増加しなかった。次に、ROSを消去するMnSOD、TRXをIκBSR導入クローンに過剰発現させたところ、IκBSRによるアポトーシスの増強はほぼ完全に回避された。以上の結果より、Ba/F3細胞におけるIκBSRによるIL-3除去によるアポトーシスの亢進にはROSが関与していることが示された。 マウス造血幹/前駆細胞(Lin^-Scal^+細胞)にIκBSRを発現させたところ、各種サイトカイン存在下でもアポトーシスが誘導された。IκBSR導入細胞では、Δψmが低下しており、ROSの蓄積も認められた。ROS蓄積の原因としては、IκBSR導入細胞では、細胞内グルタチオン濃度が減少し、MnSOD、GPX、TRXの発現が抑制されていた。また、IκBSRによるアポトーシスは、H2O2代謝剤であるMCI、NAC、TRXにより回避されたが、O2^+代謝剤であるMnTBAPはほとんど効果を示さなかった。以上の結果から、IκBSRは正常造血幹/前駆細胞において、ROS(特にH2O2)の蓄積を介してアポトーシスを誘導すると考えられた。
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Research Products
(4 results)