2004 Fiscal Year Annual Research Report
カルパイン・カルパスタチン系による関節リウマチの病態解析と関節炎制御
Project/Area Number |
16390287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三森 経世 京都大学, 医学研究科, 教授 (10157589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 隆夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (70255462)
田中 真生 京都大学, 医学研究科, 助手 (10332719)
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Keywords | カルパスタチン / カルパイン / カルパイン阻害薬 / 関節リウマチ / IL-6 / IL-1 / 滑膜細胞 / マウス関節炎モデル |
Research Abstract |
【目的】我々はRA特異的自己抗体の対応抗原の1つがカルシウム依存性システインプロテアーゼ(カルパイン)の特異的内在性阻害因子であるカルパスタチン(CS)であることを報告し,抗カルパスタチン抗体陽性RA血清中のIgG分画がカルパスタチンの機能を抑制してカルパイン活性を上昇させることを確認した.カルパインは炎症に関与する様々な因子の活性化を司り,RAの関節破壊に関与する中性プロテアーゼの一種と考えられている.本研究はRAの新しい治療戦略をめざすために,1)カルパイン阻害薬によるマウスモデル関節炎の制御,2)滑膜細胞のサイトカイン産生におけるカルパインの関与,を検討した. 【方法】1)モノクローナル抗II型コラーゲン抗体でBALB/cマウスに関節炎を誘導し,高用量(9mg/kg/day)および低用量(3mg/kg/day)E-64-d,rCS(9mg/kg/day),対照溶液をそれぞれ腹腔内投与し,関節炎点数と足趾腫脹度を追跡評価,病理学的検討も行った.2)カルパイン阻害物質が腫脹関節でのサイトカイン産生に及ぼす作用を解析するため,定量的RT-PCR法により組織中の各サイトカインmRNA量を測定した.3)RA患者滑膜細胞から樹立された細胞株E11およびcrudeなRA患者滑膜細胞を用いて,in vitroで各化合物が細胞増殖とサイトカイン産生に及ぼす効果を検討した. 【結果】1)高用量E-64-d群では有意に関節炎点数,足部腫脹度,関節病理所見が改善していた.2)定量的RT-PCR実験では,高用量E-64-d群で組織中のIL-6およびIL-1mRNA量が有意に低下していた.3)In vivo実験と同様,E-64-d添加E11細胞およびcrude滑膜細胞では,E-64(E-64-dの膜非透過性誘導体)添加群と異なり,IL-6およびIL-1産生が有意かつ濃度依存性に阻害された.しかし,E-64-d,E-64のいずれもE11細胞の増殖に影響を及ぼさなかった. 【結論】RAモデル関節炎の病態におけるカルパインの重要な役割が示唆された.その機序として特に細胞内での炎症性サイトカイン産生抑制作用を介すると推論された.
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Research Products
(6 results)