2004 Fiscal Year Annual Research Report
難治性小児白血病におけるアポトーシス耐性機序の解明と克服を目指した治療法の確立
Project/Area Number |
16390297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中澤 眞平 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90090034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 完爾 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (60138055)
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30293450)
合井 久美子 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (70324192)
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Keywords | 難治性小児白血病 / Philadelphia染色体陽性白血病 / 11q23転座型白血病 / 分子標的療法 / Imatinib / BCR-ABL / PKC412 / FLT-3遺伝子 |
Research Abstract |
Philadelphia染色体(Phl)や11q23転座をもつ白血病は難治であり、本年度の研究ではこれらの白血病に対する新たな分子標的療法の可能性に焦点を当てて解析を行った。 Phl陽性白血病では、BCR-ABLチロシン・キナーゼに特異的なinhibitorであるImatinibが臨床応用されているが、造血因子依存性株にBCR-ABLを導入したモデル実験系では、細胞周期促進にはcyclin dependent kinase(CDK)のinhibitorであるp27の抑制が中心的な役割を果たしていると報告されているが、Phl陽性ALL由来細胞株7株での解析ではCDK4が中心的な役割を果たしていた。またアポトーシス抑制においては、BH-3 only因子のBimの重要性が明らかになった。したがって、CDK4やBimを標的にした分子療法剤の開発が新たな治療法につながると期待される。 11q23転座型白血病では、FLT-3遺伝子のチロシン・キナーゼ・ドメイン内に時に変異があり、われわれの樹立した細胞株10株のうち単球性株とリンパ球性株の2株が変異を有していた。変異を有する2株は、FLT-3に特異的な阻害剤であるPKC412に対して有意に高い感受性を示した。これらの株では、PKC412によってSTAT5、Akt、MAPKが脱リン酸化を受け、細胞周期のG0/G1期停止とアポトーシスが誘導された。また、11q23転座型ALL細胞株では、FLT-3遺伝子に変異がない株でもPKC412に比較的高い感受性を示し、FLT-3遺伝子のreal time PCR解析で他のALL細胞株に比べて約1オーダー高い発現を認めた。従って11q23転座型白血病では、FLT-3遺伝子の変異以外にその高発現によって活性化されている可能性や、他のチロシン・キナーゼ遺伝子に変異がある可能性も示唆された。
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Research Products
(3 results)